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溶ける、溶かす、淡い色 ページ13

誰かに呼ばれた様な気がして酒場に行った。

深夜十一時、幽霊の様に浮かぶ瓦斯灯(ガスランプ)から身を隠す様な気持ちで通り抜け、酒場のドアを潜った。


店内を揺蕩う(ゆたう)紫煙に胸まで浸かりながら階段を降りると、既に太宰がカウンターの席に座って、酒杯を玩んでいた。


此奴は大抵この店に居る。

頼んだ酒を飲まずに黙って眺めている。



____其れと、太宰の隣に見覚えのない女が居た。



「やァ、織田作」



太宰が嬉しそうに云った。

手を掲げて返事をし、私は太宰の隣に座った。

何も訊ねずに、バーテンダーが何時もの蒸留酒のグラスを目の前に置いた。



「...太宰、此奴は?」



私が今の状況で、最も知りたかった事を訊ねた。

...又、太宰の悪戯女だろう、と思った。



「嗚呼、織田作には未だ云っていなかったね

紹介するよ、私の恋仲___」



「AAです

織田作さんとは、今日で初めて御逢いしますね

どうぞ宜しくお願い致します」



___礼儀正しい。

失礼ながらも、そんな事を思ってしまった。

太宰の隣に居る女と云えば、気持ち悪くなる程の甘い香水を付け、其れこそ自己紹介等、以ての外だからだ。

...然し、美人だな、と心の中で呟く。

染めて無さそうな、艶のある黒髪は、胸まで伸びている。

顔も整っており、やや釣り目な彼女から、強さを感じる。

.........こんな美男美女の二人に、私は此処に居ていいのかと疑惑する。



「AA___?

お前、首領の補佐だったりするか?」



純粋に思った疑問だ。

マフィア内で、AAと云う名の少女を養ったと云う噂が流れていた事を、ふと同時に思い出した。




「ええ、こんな私ですが、首領の補佐を務めております

織田作さんもご存知なんですね」



そう嗤った彼女は、何処か悲しそうな目をしていた。


___とても、美しかった。

成功は失敗より難しく→←新たな者への


文豪達のラッキー愛

乱歩さんのお菓子への愛


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アルパカはむはむ(プロフ) - れたすさん» すいません、修正します! (2017年3月22日 20時) (レス) id: aa53b83762 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 苗字と名前がおなじになってますよ! (2017年3月22日 20時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - オリエンス★さん» 誤字報告有難う御座います!よく間違えてしまうんですよね......(+_+)すいませんでした、修正します! (2017年2月26日 21時) (レス) id: be55d2a0f5 (このIDを非表示/違反報告)
オリエンス★ - あの、姐さんの名前ってこうようですよね?28ページの11行目、ルビがくれはになってますよ? (2017年2月26日 19時) (レス) id: 45aae5d70b (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 続編出来ました!皆様、沢山の評価、お気に入り有難う御座います。今後とも宜しくお願い致します! (2017年2月25日 22時) (レス) id: be55d2a0f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルパカはむはむ | 作成日時:2017年2月17日 19時

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