18 偽りの全て ページ19
僕は…
言えないってずっと思ってたことなのに。
それなのに。
ラセになら言えそうな気がしてきた。
僕は体が弱かったのは知っているよね。
昔から…今もだけど。
あれは…そうだな、4歳か5歳くらいのとき。
僕は酷い高熱を出したんだ。
朦朧としていたけど、なんとなく覚えてるよ。
僕の額に手を当てて熱を測る感触。
何度も布団をかけ直してくれる優しい手。
僕を心配してくれるみんなの声。
もちろん、ラセも居たんだよ。
あの頃のラセ、可愛かったなぁ…
それでね、熱が下がらなくて、言われたんだ。
「僕を『病院』に連れて行く」って。
僕は意識のはっきりしないまま、門から出て“病院”に行った。
あとで考えれば、そこが“本部”だったんだね。
今、エンディはそこにいるのかなぁ。
それで、よく覚えてないんだけど、治療をしてもらった。
今考えると酷いよね。
どうせ何年か経ったら働かせて…もしかしたら殺されるかもしれないのに、わざわざ助けるなんて。
でももちろん、“本部”や“学園の正体”を知られてはいけないから。
恐らくそれは…忘却の薬だったんだろうね。
それを飲まされた。
でもね、僕はそのことを___熱が下がったあとはね___鮮明に覚えてる。
だって、僕は人様よりずっと、薬が効きにくい体だから。
ほら、覚えてる?
昔、病気で薬を飲んでもなかなか治らなかったこと…
あの後、帰ってきてから聞いたんだ。
「あそこはなんなの?」ってね。
すごく驚かれたけど。
「知ってしまったのね」って、悲しそうな顔をされたっけか。
そして、全てを教えてもらった。
学園の全貌、彼女の生い立ち、外のことも少し。
辛かったな。
苦しかったな。
知っているのに、兄を、姉を。
黙って見送るしかないのは。
秘密を知って初めて見送りをした日、あの悲しそうな顔の意味がようやくわかったよ。
でも。
それもこれも全て。
全て…今日の日のためさ。
そしてラセとナミアのため。
驚いた?
そうだよね。
でもほんとだよ。
彼女と共に計画を立て、実行した。
盗聴器の発案者は誰?
忘れたとは言わせないよ。
僕だ。
全てが全部。
なにもかも。
どんなことも。
僕が用意し、立てた計画。
ね。
だからさ、行ったんだ。
彼女は裏切らないってね。
もういいかな?
質問はないよね?
そしたら今度は君の番だよ。
ラセ。
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なかなか話すことの無い女の子
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小幅(プロフ) - イベントのご参加、ありがとうございました。 スゴく面白いです!!! この続き、待ってまーす! (2020年4月11日 8時) (レス) id: 62007663da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノルアン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/akamate/
作成日時:2020年1月8日 17時