【完了】8話だと私は思ったのです。 ページ10
霧野side
俺はいつも友人である神童と弁当を食べる。
場所は屋上や、中庭や、色々だが必ず神童と食べるのだ。
一年の頃から変わらないその習慣はもうこれからも変わらないのではないだろうかとすら思う。
高校生になっても、大人になっても、変わらないといい。
なんて少し湿っぽくなってしまったが、要は俺と神童は一年の頃から仲が良いのだ。
気の知れた仲なので気を遣うこともない。
それに神童の持ってくる弁当は美味い。
実はお坊ちゃまである神童の弁当は毎朝、専属のシェフが作るんだとか。
大変羨ましいことである。
中坊が何を甘えているんだ、とは思うがいつも彼の弁当のお裾分けを頂いている身なので言えないし言わない。
「今日の卵焼き、味付け変えたのか？」
「みたいだな。最近、お前の舌も肥えたな。」
ああ、おかげさまで。そう言おうと口を開けようとしたが、開いたのは屋上のドアだった。
やたらと立て付けの悪いドアはキィと不快な音がした。
でも今はそんなことが気にならないことくらい、目を奪われている。
そう、例の図書室の女の子に。
「お、いたいた！霧野くん…と、」
「…霧野？お前の知り合いなのか？」
「あ、ああ…！！」
首を必死に縦に振った。それはもう首がもげるんじゃないかというくらいに。
まさか、ここに宮原さんがいるなんて。
「俺は神童拓人だ。よろしく。」
「ああ！君が神童くんなんだね。サッカー部のキャプテン、神童拓人！二年生でキャプテンなんて大変だね。頑張ってね。」
「ああ。ありがとう。」
宮原さんから労いの言葉を贈られ、神童は照れくさそうにお礼を言った。
少し嫉妬したのは秘密だが。
「んで、どうしたんだ？宮原さん」
「あ、うん。霧野くんと一緒にご飯、食べたいなって。でも神童くんがいるなら…」
顔に熱が集中するのを感じつつ、首を横に振った。
そんなの気にしくてもいい、という意味を込めて。
「俺のことは気にしなくていい。」
チラリと俺を見たあと、神童は俺の言葉を代弁した。とても有難いことである。
宮原さんは笑って神童の隣に座った。
神童の、隣だ。
「お、おい？！霧野？！」
「うるせえ！食わずにやってられるか！」
神童の弁当から卵焼きをつまんで口に放り入れた。
さすが、絶妙な甘さと旨味のバランス。
「うん、美味しい」
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きんぐ(プロフ) - うたうさん» いえ笑。好きなものには節操なく、ですから笑 (2015年9月5日 13時) (
レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
うたう - サクサク進むなんて凄すぎです！！(゜ロ゜ノ)ノ (2015年9月5日 13時) (レス) id: 7c4a6d391b (このIDを非表示/違反報告)
きんぐ(プロフ) - うたうさん» コメントありがとうございます。思ったより書くのが楽しく、意外にサクサク進められています。これからもご愛読、お願いします！ (2015年9月5日 13時) (レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
うたう - 超面白い!!!((o(^∇^)o))これからも頑張ってくださいね( v^-゜)♪ (2015年9月5日 12時) (レス) id: 7c4a6d391b (このIDを非表示/違反報告)
きんぐ(プロフ) - 亜依斗(*・ω・)ノ☆AITOだお☆さん» コメント有難うございます！これからもちまちまとですが、更新していきます。 (2015年9月3日 22時) (レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんぐ | 作成日時：2013年10月19日 12時
