【完了】17話だと私は思ったのです。 ページ19
狩屋side
１台の車が通り過ぎた。
その直後、先輩が宙を舞っていた。
やけにスローモーションに見えるその動きに生唾を飲む。
ドスッと鈍い音がしてスローモーションは終わる。
ハッと慌てて我に返ると先輩に近づいた。
頭から流れ出る血が異様に鮮やかな赤を保っている。
どうすればいい。確か保健でも習ったはず。思い出せ。
うまく回らない頭にムチを打った。
まず、まず、まず、まず、人を呼んで、救急車を。
「誰か！！！救急車を……ッ！！！」
そう呼びかけてもざわざわと野次馬が周りを囲っているだけだ。
チッと舌打ちをしたあと自分の携帯を取り出して救急車をよぶ。
急いでくれ、と早急に場所を伝えた。
どうすればいい。次は、次は。
「狩屋く…ッごほ…」
「せんぱ…せんぱい！！！」
意識がある。よかった、よかった、と口からポロポロでた。
目頭が熱く、鼻がツンとしてきた。
よかった。本当に。
「も、私、…ダメかも、」
「そんな、そんなことない…！なに言ってんだよ…ッ！！！！」
「だ、って、もう、」
途切れ途切れに漏れる言葉はあまりに弱々しく、まるでA先輩でないみたいだ。
いや、こんなの先輩じゃない。A先輩はもっと、もっと…。
なんだろう…？何も思いつかない。
俺は結局A先輩の欠片の一つも知っちゃいない。
結局俺は、彼女を縛り付けるだけだった。
俺のことしか見てないって分かってたからだ。
A先輩に霧野先輩を勧めたのも、A先輩が俺のことしか見てなかったと知っていたからだ。
ただそれしか、知らなかったくせに。
「ごめ、ごめん…先輩…ッ」
「泣か、ないで、」
先輩の手が俺の頬をなでた。
暖かい、体温。手の中にあると思っていたもの。
今やっと分かった。俺は彼女の一つも手に入れられなかったのだと。
彼女が必死に俺に与えようとしていたのに、受け取ろうとせず他所を見ていた。
だから、最後はこうなった。
俺のせいだ。俺のせいだ。俺の、俺の、俺の、俺の、
「ごめんね。大好きだったよ。ずっと。」
「な、んで、先輩が謝って、…あああああ……！！」
涙が溢れて止まらなくなった。
それでも俺は気付かないふりをするんだ
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きんぐ(プロフ) - うたうさん» いえ笑。好きなものには節操なく、ですから笑 (2015年9月5日 13時) (
レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
うたう - サクサク進むなんて凄すぎです！！(゜ロ゜ノ)ノ (2015年9月5日 13時) (レス) id: 7c4a6d391b (このIDを非表示/違反報告)
きんぐ(プロフ) - うたうさん» コメントありがとうございます。思ったより書くのが楽しく、意外にサクサク進められています。これからもご愛読、お願いします！ (2015年9月5日 13時) (レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
うたう - 超面白い!!!((o(^∇^)o))これからも頑張ってくださいね( v^-゜)♪ (2015年9月5日 12時) (レス) id: 7c4a6d391b (このIDを非表示/違反報告)
きんぐ(プロフ) - 亜依斗(*・ω・)ノ☆AITOだお☆さん» コメント有難うございます！これからもちまちまとですが、更新していきます。 (2015年9月3日 22時) (レス) id: 5cf3a6c2ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きんぐ | 作成日時：2013年10月19日 12時
