別に復讐とか考えてません (ページ4)

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4話ページ4

偶然にも厚藤四郎を発見したのは、身内である薬研藤四郎だった

森の方に何か、敵とは違う気配を感じた薬研は足を止め、隊長にその事を報告する
疲労を蓄積したみんなの足を止めるのにちょっとだけ罪悪感を持ちながら、薬研はその気配を辿っていった

そうして見つけたのが、ドス黒い液体を被った厚だったのだ

厚の全身から警戒と殺意が隠される事なく漂う
片手に持つ刃が喉に当てられる未来を想像してしまい、薬研は無意識に固唾を飲んだ

幸い背を向けた厚は気が付いていないのか、顔にべっとりと付いている液体を服の裾で拭っている
なかなか取れないのか悪戦苦闘している厚の肩に触れようとした瞬間

厚の刀が顔面すれすれに向かってきた
戦闘後だったおかげか、疲労はあれど神経を研ぎ澄ましていた薬研はなんとか無傷で避けることに成功する

その太刀筋には一切の容赦も余裕もなく、どこか切羽詰まったような必死さを感じた

「厚、落ち着けよ」

声をかけるも、厚は聞こえていないのか驚愕に目を見開き、次いでその瞳に不安と恐怖を宿した
それでも殺気は治ってくれない。この厚とは他人とは言え、身内で一方的ながら厚の性格を知っている薬研は複雑な気分だった

かけてきたいち兄にすら刀を向けようとする厚に、俺もいち兄も駆けつけてきた隊のみんなも驚く
うちの本丸にいる厚はわりと甘えん坊な所があるからか、いち兄に反抗したことがない

改めて違うのだ、と認識し固まっていると
鶴丸の旦那が果敢にも厚に話しかけた

血を指摘された厚は一度瞼を下すと、ゾッとするほど無感情な瞳をこちらに向けて、刀を構え直した

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その後は、鳴狐の容赦ない鳩尾蹴りで意識を失った厚をどうすべきか大将に報告した
大将は合理的な人だ。時に非情だがきっと正しい答えを導き出してくれるだろう

「保護するように、だって」

とりあえず、身内をこのまま放って置くことにならなくてよかったと安堵する薬研だった