【募集企画】“Recruitment of accomplices” 本部【被虐のノエル】 (ページ2)

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カインの叫びを聞いたジズは、静かに彼の頬から手を離す。

「アンタがこんなことになったのは、自業自得かもしれない。アンタには、市長に復讐する資格なんて無いかもしれないぞ」
「自業自得なのは承知の上だ。資格が無いのも理解している。でも、このまま市長を放置していたら、これから先何人の人が犠牲になるかわからない。それを防ぐと言う意味も含めての復讐だ。協力してくれないか」
「まあドラーチェは素封家を差別的に<捧物>(ホロコースト)にしているからな。このままだとこの市の芸術は破滅を迎えることになる」

しかし、とジズは続けた。

「その復讐に俺は加勢できない。俺は人間に肉体攻撃をすることが出来ないんだ。多分アンタを守ることすらままならない」

ジズのその言葉に、そうか、とカインは残念そうに呟いた。

「ラプラス市のテロリスト、ノエル・チェルクェッティのように大悪魔を味方につけることが出来ればと思ったんだけど」
「チェルケ……？なんだそれ」
「知らないの？他国に市を相手に戦うテロリスト集団がいるって、有名な話だ。その首謀者が、ノエル・チェルクェッティ。僕と同い年の少女」

そこまで話して、カインは軽く咳払いをした。話を戻そう、と言う合図だ。

「まあ、無理強いできる立場じゃ無い。諦めるよ」
「おいおい、アンタ1人で市長に立ち向かう気？無理だろ？ ……仲間を探してみろ。アンタ以外にも、ドラーチェの被害者はいる。主に素封家にな」

ジズの提案に、カインは「仲間を、探す……」と小さな声で復唱した。
確かに、ノエル・チェルクェッティにも仲間は大勢いる。魔人の兄弟や、その取り巻き。
何故チェルクェッティがテロを起こしているのかは知らないが、ドラーチェ市長への復讐を掲げれば、付いてきてくれる人もいるかもしれない。

「成る程。……参考にさせてもらうよ」
「そうかい、それは良かった。……話は終わりか？なら俺はそろそろ退散させてもらおう」

そう言ってジズはカインに背を向け、指を鳴らそうと右腕を上げる。
カインにはその挙動すら見えていないが、彼はジズに向かって「待て！」と叫んだ。
腕を咄嗟に伸ばそうとしたのだろうか。固結びされた袖が揺れている。

「僕が君と交わそうとした第二の契約は、まだ済んで無い」