天使の嘲笑2【rbr】

億千倍 ページ32

2人でしばらくわんわん泣いていた。

初めからなかった障害物に囲まれて泣いた。
知らなきゃ良かったと思ったし、一緒にいると悲しかったし、ロボロから逃げてここまで来た。

でもロボロがいたから、いいことも悪いことも、話して笑い合ったのが1番嬉しかった。


どこか愛情表現のおかしかったロボロを馬鹿にはできなかった。私も同じくらい大切に思っていた。


2人で倒れ込んで横を向いて見えたのは、学生のときと変わらない彼で。

「今までほんまにごめんなさい」
「いいよ」
「ずっと好きやったのよ」
「わたしも」

色々入り交じった感情で溢れた。
ふっ、と起き上がったと思えば、私の横に座り込んで真剣な眼差し。

小っ恥ずかしくなって私も起き上がれば、殆ど変わらない高さの視線が交わる。

「俺の彼女になってくれる？」
「もう二度と無理しないならいいよ」
「んふ、俺のこと好き？」
「好…き。ロボロの100倍好き」
「はぁ！？じゃあ俺はその1000倍」

やっと通じ合って、慣れない空気感が消えて、肩がすとん、と落ち着く。

ワーワー揉めて、背を向けあったら、右肩に寄っかかってきやがる。


「俺な、ほんまに嬉しいんやで」
「なに急に」
「ずっと後悔しとってん。もう未練はないわ」
「は！？何言ってんの」
「冗談やて、ああ、今のはあかんかったな、ごめんな」

涙腺がばがばの私をなだめて、さほど特徴もない私の髪の毛を梳いた。


「俺ユイのことちゃんと断るわ」
「ああ、うん」

言うべきか迷ったけど、ユイさんの気持ちは私が代弁すべきじゃない。
そこに私が干渉する権利は無い。


「ヴッ、ロボロ、重い」
「失敬やなぁ、お前よか軽いんちゃう？…イッタァ！」

調子に乗ってのしかかってくるから、右腕をぐいーと引っ張る。耐えかねたロボロが正面にやってきて、私の両肩に手を置いた。


「…なに？」
「お前、ツンデレなん？ええ大人のくせに」
「心外」
「顔真っ赤やぞ」
「黙っていろ！」

優勢に立たれると、もうお終いだ。
膝立ちで私を見下す。

空気が一変する。

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