天使の嘲笑2【rbr】

アルペジオ ページ22

ピコン、通知の音。
コネシマ先輩。

無愛想なコネシマ先輩だけど、彼なりに私のことを気にかけてくれているようだ。


いよいよ本格的に写真の人間として忙しくなってきたのだけれど、集中する上で拭えない感情があるのはなんというか、不利だ。

だから好都合だった、こっちも。


ゆうがた、ギターを持ってきてあぐらをかいた。
黒く光る胴があんまりカッコよく見えて、だから私もカッコつけたくなった。

あたかも弾ける風に利き手を動かせば、ちゃんと音がする。

嬉しくなってつい反対の手がギターの頭に当たって、銀色のパーツがぐりん、と回ってしまった。
大丈夫かな？これ。


これを買った時ロボロに叱られた。
もしかしたら、愛されていたのかもしれない。

もしも、本当に万が一の話だけれど、私を大切に想って、本気で好きだと言ってくれたのかもしれない。

だとしたら、なんだ？
ユイさんはどう説明するんだ。


「…な訳」

いちばん細い弦から、鋭い音を鳴らした。
こっちが一弦？六弦？どっちだっけ。


私がずっと好きだったのは誰だ？


親友を好きになってしまった自分自身？
もしかしたら、鬱さん？コネシマ先輩？


「ピンと来ないね」

私のロボロへの想いはスカスカで、何が好きかなんて答えられない、事実。

でもどんなことをされても、どんな歪んだ面を見ても、未だに愛している矛盾。


ユイさんに言われたことすべて、本当にすべて悔しかったんだな。

消えてしまいたくて、こういう自分が大嫌いで、何も関係ない人まで巻き込んでは辛い思いをさせる要領の悪さは本当に絶対に最低なのだけれど。


「わたしってよく頑張ったな」


行くところまで行き過ぎた一途は毒でしかない、気持ち悪い。

でももう、それも愛してあげよう。

明日死んだ時、もしもそうなった時、自分の心を躊躇いもなく抱きしめられたら楽だ。

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