25日目 ページ26
「A。」
「……私はここにいるよ。万次郎。」
夕飯を食べ終わった後、私たちはベットに寝そべった。二人で一緒の布団を被って、万次郎が縋るような声で私の名前を呼ぶ。それがどうしようもなく切なくて、ただただ抱きしめる。
まるで赤ん坊の夜泣きだ。
万次郎にとって夜はなにか思う所があるのかもしれない。暗いし、不気味だから色々思い出してしまうのだろう。
「今度さ、海行こうよ。」
私の言葉に反応した万次郎に軽く頬ずりをして、おでこにキスをする。万次郎は満たされたような顔をして
抱きしめる力を強くして、顔をうずめる。
「海、いいね。行こう。」
万次郎と海。
きっと彼は華奢だから、あの広い海によく映えるのだろう。儚くて海に攫われそうな彼の手を私はしっかり握るのだ。
「今やってる仕事、来月までには片付く。
そしたらきっと行ける。」
万次郎が顔を埋めながら普段より明るい声でポツポツ話す。私はそんな万次郎を愛しく思った。
「昔近所の海でよく遊んだじゃん。そこがいいな。」
私がそう言うと、万次郎は少し言葉を詰まらせてから小さい声でいいよ、と言った。
あそこには思い出がありすぎる。
今の彼にとっては辛いものに変わってしまったのだろうか。
「……楽しみ。」
万次郎はそう呟いて、私の頬にそっとキスをした。
その後急に眠気が来たのか、充電が切れたロボットのように眠りに付いてしまった。
海、楽しみだなあ。
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雪ん子(プロフ) - 最高です！！ってことは最終話軸？最終話時空の話見るの初めてなので何だか新鮮でした！！ (7月23日 11時) (
レス) @page30 id: fa924563b5 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 瀬琉ﾁｬﾝ.さん» コメントありがとうございます。そう言って貰えて光栄です……！ (2022年8月6日 2時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
瀬琉ﾁｬﾝ. - とても深いストーリーに感動しました...!! 本誌の内容が良い感じに組み込まれつつハッピーエンドで完結できる作者さんの文才うらやましいです((( (2022年8月2日 23時) (レス) id: e12b8018fd (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 七瀬太さん» コメントありがとうございます！私もとても楽しみにしています！ (2022年7月30日 16時) (レス) id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬太 - すごい泣ける🥹公式？の方の最新刊も本当に楽しみです！ (2022年7月25日 16時) (レス) @page30 id: 320abee8c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずぴす | 作成日時：2021年9月24日 9時
