17話 ページ18
「なんだー?」
そう言って振り返ると、さっきより顔色を悪くしたジャミルが俺を見つめていた。気を抜いたことで体調が悪いことを自覚したからだろう。
俺はジャミルの方へ行き、目線を合わせる。
ジャミルは目を逸らした。
「……なんで、俺なんかにこんなに優しくしてくれるんですか。カリムの金目当てなら、宝物庫に……」
俺はジャミルの言葉を遮った頭を撫でた。
ジャミルは目を見開いている。
「そんな悲しいこと言わないの。俺が金目当てだと本気で思うのか?」
「……ごめんなさい。」
熱が上がってきたのか、ジャミルの焦点は定まらない。時間差発動の毒でも入れられてたのか、はたまた風邪なのか。従者というものは本当に大変だ。
「俺がジャミルに優しくする理由は、お前は上手く隠してるつもりでもさ、俺には分かっちゃうんだよ。
お前の我慢とか感情とかさ。……似てるんだ。俺に。」
相手をたてる為に、自分の実力より手を抜かなくてはならない。感情を殺して自分を繕う。
俺たちこんな役、望んでないのにな。
「前にも言ったが、助けて欲しかったりどうしようもなくなったら言えよ。まあその点、今回のSOSは分かりずらかったが……初めにしては上出来。」
ジャミルの背中をさする。
ジャミルは申し訳なさそうに俺の肩に顔を埋めるだけだった。
「こんな状態になるなんて……従者失格だ。」
荒い呼吸でか細く呟くジャミル。
俺は魔法で冷えピタを出し、ジャミルのおでこに貼る。
「ばーか。今俺とお前しか居ないんだ。今のお前は従者でもなんでもねぇ、ただのガキだ。ガキは大人にすがりついとけばいいんだよ。頼れる大人は沢山いるが、まぁお前その点不器用だもんな。
そういう時は俺のとこに来い。
なんも聞かず甘やかしてやるよ。」
俺がして欲しかったことをジャミルに。
ジャミルには俺みたいになって欲しくない。
教師陣もうすうす気づいてるだろうが、一人の生徒に偏った愛をあげることは出来ないだろう。
俺の役得って訳だ。
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零(プロフ) - 続きが速く見たいです! (2023年2月11日 16時) (レス) @page30 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 洸さん» 返信遅くなってすみません……!そう言って頂けて本当に嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月31日 15時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
洸 - えっちょ、は?神か?神だな?貴方は神だな?誇張じゃなく神だな?神ですね?え、今まで見た中で最高ですよコレ。更新待機しますよマジで。 (2022年4月23日 21時) (レス) @page27 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 舞さん» 返信遅くなり申し訳ございません……ありがとうございます! (2021年11月17日 19時) (レス) id: bc678a6855 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ (2021年11月7日 2時) (レス) @page24 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす x他1人 | 作成日時:2021年8月21日 5時