想いが32つ ページ46
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心なしか、帰宅するAのスピードが早くなる。生ぬるい風が重く肌をかすめる。
普段なら、とうの昔に家に着いている時間。
祖母には「テスト勉強してから帰るからちょっと遅くなる」とは伝えてあるが、ここまで遅くなるとは思っていなかった。
何も連絡していないゆえに、心配をかけてしまう。
早く帰らなくてはいけない。謎の使命感のようなものが込み上げてきて、いつもより早く、学校から家に帰ることができた。
ただいま、と言って玄関の戸を開ける。夕食の美味しそうないい匂いが漂ってきた。
「お帰り。いつもより遅かったね、何かあったのかい？」
Aの祖母が心配そうに玄関に顔を出す。声色までもが心配していたことを伝えてくる。
『ただいま。何でもないよ、テスト勉強が長引いちゃったの。これからはちゃんと連絡するね』
これ以上心配かけまいと、笑顔をつくって言う。いくら家の外では冷たく取り繕っていても、大好きな祖父母の前では昔から何も変わらない、素のままの自分でいられる。
やはり、この家は居心地がよかった。
「そうかい。熱心でいいことだよ。もう晩御飯はできてるから、部屋に荷物を置いておいで。今日は麻婆茄子だよ」
『はーい！』
自然に笑みがこぼれる。
二人は、学校でのAを知らない。もし知られてしまったとき、そのままのいいこの孫でいられるだろうか。
一人しかいない部屋で、無性に不安になった。
━◈━◈━◈━◈━◈━
夕食のとき、祖父が聞く。
「学校はどうだった？」
「テスト勉強順調か？」
「友達と仲良くやってるか？」
それに対して、Aは、
『いつも通りだったよ』
『今回はテスト範囲がちょっと広いけど、順調だよ』
『友達とは仲良くやってるよ。今日、一緒に勉強していたの』
箸が進む。話も進む。和やかな空気が漂う。
美味しい食事はあっという間になくなり、お風呂の時間まで勉強しようと部屋に戻る。
けれど、なぜかやる気が起きなくて、布団に倒れこんだ。
すると、スマホがなった。
通知を見ると、伊織と百合と夏実とのグループL○NE。
差出人は伊織。
メッセージには、
iori.sごめんなさい
と、謝罪が述べられていた。
一体、何を謝るの？伊織は何も悪くない。悪いのは、何も言わない、A自身だ。彼女は罪悪感でいっぱいになった。
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七瀬月華(プロフ) - アルトさん» アルトさん、ご指摘ありがとうございます。本当だ、誤字ですね、直しておきます!最近更新できていませんがまたのんびり更新できたらと思っています。これからもよろしくお願いします! (6月22日 6時) (
レス) id: cc5c7606ec (このIDを非表示/違反報告)
アルト - ４５ページ「想いが４４つ」の「君自信がきちんと理解したら」のところって「自信」じゃなくて「自身」だと思います。この作品、すごく面白いです。 (5月24日 0時) (レス) @page45 id: b2fe1b0766 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬月華(プロフ) - (?????)ゆずさん» (?????)ゆずさん、コメントありがとうございます!本当だ、思い切り誤字ってますね…直しておきます!面白いと思っていただき嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (5月21日 1時) (レス) id: a8ca27c8a1 (このIDを非表示/違反報告)
(?????)ゆず(プロフ) - 17話の笹原sideのところ、「side」じゃなくて、「size」になってます！あと、この作品、面白いです！ (5月17日 17時) (レス) @page18 id: b8157db853 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬月華(プロフ) - ヘイヘイヘーイさん» ヘイヘイへイーイさん、面白いところに気づきましたね！私は言われるまで気づきませんでしたよ…コメントありがとうございます！ (2022年8月3日 10時) (レス) id: 789243bd83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2021年8月28日 18時
