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顔を見合わせた2年の3人。澤村が声を出した。
｢臨時で入ってくれた子が1日目は普通に手渡しして、受け取りもしてくれたんだけど……｣
｢2日目は手渡ししてくれたんだけど受け取りはしなかったんだ｣
｢逆に3日目は手渡ししてくれなくて、受け取りはしてくれたんだよ｣
菅原と東峰も言う。
｢で、4日目からは手渡しも受け取りもしてくれなかったから……｣
｢自分達でボトルを取りにいって、籠に返しに来てたのね｣
｢そういうこと。タオルも一緒だったんだ｣
｢タオルは別で籠をつくってくれてそこに入れてたって感じだベ｣
｢仕事はしっかりやってくれたし、きっと疲れてるだろうって思ったから俺たちも何も言わなかったんだ｣
｢なるほど…｣
｢ねぇ、その子……｣
私はとても仕事の出来る臨時マネージャーを正式にマネージャーに勧誘しようと思ったんだけど…
2年's｢｢｢やめといた方がいい。｣｣｣
言い終わる前に、2年3人に同時に止められた。
｢……まだ言い終わってないんだけど｣
遮られたことが少し嫌で、ムッとして言い返す。
｢マネージャーに勧誘しようとしてるんだろ？やめといた方がいい。｣
｢なんで？｣
言いたいことが分かったならば、なおさら止める理由がわからない。大きな声を出したこともこちらが誠意を持って謝ればきっと許してくれるだろう。
｢いや、俺たちも誘ったんだよ。最終日にな。田中と西谷なんてしつこく。｣
｢けど、しつこくしすぎたんだ。さっき話しただろ？｣
｢最後に怒った話でしょ？私でも怒る｣
｢仕事はしっかりやってくれたから惜しい奴を手放したと思ってるけど……｣
｢また縁下が言ったところで考えが変わるとは思わないんだよなぁ……｣
｢また怒り出すよね……多分｣
ハァ、とため息をつく2年's。
時間も時間なので、そのうち解散となった。
━◈━◈━◈━◈━◈━
家に帰ると、私はすぐに自室にこもり、今日のことを思いだしていた。
私はノートのことを言わなかった。言わない方がいいと思ったから。
家にこっそり持ち帰ってきたノートをじっくりと見る。普段と何一つ変わらない練習なのに、見えていなかったことがたくさん書かれている。
ページをめくる手が止まらない。いつか、必ずマネージャーにしてみせる。そう、心に誓った。
空は、美しく澄みわたっていた。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2021年7月29日 15時
