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「話しかけるなオーラが出てるって言うのは、話しかけないでほしいっていう雰囲気が感じられるってことだよ」
「ほら、怒ってる人って怒ってそうだな〜って分かるだろ?空気が読める人っていったら分かるか?」
「なるほど……縁下は空気も読めるのか……」
せっかく木下と成田が説明してくれたのに、ピンと来てないみたい。
みんな、あ、何も分かっていない、って顔してる。がっくりと肩を落としちゃった。
う〜ん……と分かりやすい例えはないかと頭をひねっていると、菅原が思い付いた。
「ほら、大地が怒り出すっていうとき、すぐ分かるだろ?雰囲気が怖いっていうか、あ、ヤベって思うというか」
「あ〜なんか本能的にヤベってなるよな。離れよ、って感じで」
東峰も付け加えると、
「「「なるほど…!分かりやすい!」」」
と納得してしまった澤村以外のバレー部員。
これ、ヤバくないの…?と思っていたら、予想通り澤村からは真っ黒のオーラが出て、凄い圧がかかってきた。
「お前ら……覚悟しろよ……」
ヒッと短く返事をすると、みんな明日の練習に覚悟をきめたようだ。自業自得でしょ。
━◈━◈━◈━◈━◈━
「だいぶ話がそれたが……何の話だったっけ?」
部員にひと睨みきかせて、元通りに雰囲気を戻した澤村。取りあえず凄い。
「ほら、私が休みの間の話」
ああ、とひと言。やっと本題に入った。
「私が休みの間、どんな子が入ったの??」
「どんな子、かぁ…まあ
「俺たちがスカウトしたんです!」
「やっぱり俺たちの目に狂いはなかった!」
「なあ、龍!!」「オウ!!」とハイタッチをする2人。
「意外……」
「だべ?あいつら目をキラキラさせて報告に来たもんな〜」
「だな。ん?あ…」
何かを思い出したかのように空を見つめる東峰に澤村が声をかける。東峰の顔は少し青くなっていた。
「どうした、旭?」
「え、あ、いや、何でもない…」
「怒られるようなことでもしたのか?」
「してないしてない。ちょっと嫌なこと思い出して…」
ふーん、と菅原がひと言。
「清水、何でどんな子だったか気になったんだ?」
「なんか皆どこかいつもと違ったから」
ほら、休憩のときとか、と付け加えると、顔を合わせた2年の3人は、何か思い当たる節があるようで、あ、と同時に声を出した。
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作者名:七瀬月華 | 作成日時:2021年7月29日 15時