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そうして迎えた翌日の朝練。今日は3日目。早速、田中と西谷が大きな声で名前を呼ぶ。
「「A〜!!」」
『……は?』
彼女はあり得ないとでも言うように目を見開いていた。
「あ、Aさん、おはよう」
「おはよ〜」
「おはよう」
『……おはようございます』
彼女は先輩も呼んでいるなら無理だろう、と悟ったのか、もう何も突っ込まなかった。
名前呼びに変えたこと以外何も変わらない朝練。どこか少しピリッとしていたのは気のせいだろう。
……気のせいだと思いたい。
あっという間に朝練も終わり、いつも通り素早く体育館をAは出ていった。
━◈━◈━◈━◈━◈━
時間がたち、放課後の部活の時間となった。 朝のことは何もなかったかのように振る舞うA。なぜか、部員スポドリとタオルを手渡しをしなかった。その代わり、受け取りはしてくれたが。
「A〜!!」
何も言わないが、顔がどう考えてもうるさい、と訴えている。彼女の眉間に、シワがよっていた。だがしかし、悲しいことに田中はそれに気がつくような男では無い。
「スポドリ、少し濃くしてくれね?」
『……気が向いたら』
「あ、A〜!!俺も!!」
『……覚えていたら』
西谷の注文にも、そっけなく返事をする。顔を合わせようとせず、明らかに早く終わらせたいと拒絶していた。そして、悲しいことに、それに気がつかない田中と西谷。
もう少し顔色を伺うと言うことを覚えてほしい。と、遠くから見守っていた2年生は思った。
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作者名:七瀬月華 | 作成日時:2021年7月29日 15時