灰谷、探さないといけないそうです。【灰谷蘭】 (ページ2)

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ただひたすら筆音が響く教室。
誰かが声を上げる。

「わかんねぇからAに教えてもらってもいいですか？」

Aは私の苗字。
勉強はちゃんとやらないと後悔するそう。
だから最近力を入れている所だが…
少し目立つようになってきた。

「勝手にしろ」

先生まで…
まぁ出来たからその子の所に行く。

「ここがわかんねぇの」

その子が分からないのは、出来て当たり前の問題。

『これはね、』

…教えるのにも飽きてきた。
他の事にチャレンジしようとも思っているが
なかなか難しい。

「あ、A、」

先生の声が聞こえる。
…黒板に写せだとか
みんなに説明しろ、だとか
言われると予想する。

「灰谷探してきてくれないか？」

『え？』

灰谷？

聞いたこともない苗字。

「問題出来たんだろ？お前」

…出来ましたけど。

『分かりました。』

教室のドアを開けて、外に出る。
顔さえ知らない人を探せ、と言われても
ハードル高いです…

とりあえずは一階から順に探して
見つかったら教室まで一緒に行く。
階段を下りて、一階まで行くと見慣れた光景。
誰もいない食堂がある。
調理師の人たちは大きな鍋の隣で
野菜を切ったり
その鍋を混ぜたり
横目で見ながら横を通り過ぎた。

灰谷さん…
どこにいるんだろう。