パン屑26個 ページ28
店に着いて後ろを振り返ると、2人は着いてきていた
何も発することなく、音も立てずに ただ静かに着いてきた
安心に似た何かを感じながら、子供達に渡す薪を用意する
ついでに、店の上の家にも明かりと炎を灯し 彼等を迎える
『持ち物に服は？』
｢あります！｣
『なら脱いだ分は洗濯に投げておけ
俺は子供達に薪を渡してくるから、好きに寛いでろ』
そう言って、彼等を家に置いて子供達の…
雨の日に使う廃屋に向かう
唯一、裏道の中で暖炉が使える廃屋
子供達が直したのか、そもそも壊れていないのかは知らない
ただそれでも、この冷える天候の中では 命綱に他ならないのだ
『クラン、いるか？』
ｸﾗﾝ｢いる｣
『薪を持ってきた｡火をつけてやってくれ』
ｸﾗﾝ｢わかった｣
何も聞かず、静かに薪を受け取るクラン
彼女も魔術師の残りだ
俺と同じ"自然生成された有"を操る魔術師
与えられた属性は、火
そして、派生する属性である熱と光も操る
そんな彼女の存在は、スラムの子供達からすれば姉
力が有ろうと無かろうと、共に時間を過ごす家族なのだ
もし彼らが、本当に依頼で来ている冒険者なら…
俺らの存在がバレれば、命の危険に晒されることになる
それでも…どうしてかは、分からない
あの命を、見捨てる事が出来なかった
『パンは昨日渡した分があるな？』
ｸﾗﾝ｢うん｣
『星が見えねぇから明日の予報は出来ねぇ
もしまだ続くようなら、明日の朝にまた持ってくる』
ｸﾗﾝ｢⋯Aさん、もう、いいよ……？｣
そう言われて、弾かれたようにクランを見る
その目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだった
クランの言葉の趣旨が分からず、その涙を掬う事しか出来ない
しかし、クランはそれすらさせてくれなかった
涙に触れた手を握り、寄り添うように頬に当てる
それはまるで別れの儀式のようで…
足元が、崩れ落ちる様な錯覚を覚えた
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_teto__teto_(プロフ) - とくめいさん» ありがとうございます｡これからもっと増えると思いますが…何卒、よろしくお願いします┏● (2023年2月27日 21時) (
レス) id: 81bd52e713 (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - コメント失礼します。こちらのお話めちゃ好みに刺さりました！v.v.tの登場も熱い！応援してます更新ファイトです！(プレッシャーになりませんように…) (2023年2月26日 19時) (レス) id: e3803de454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：_teto__teto_ | 作成日時：2023年2月14日 18時
