(ファンタジーパロ)旅人の唄 (ページ3)

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金糸の髪の旅人ページ3

金の髪が風に揺れている。

この静かな丘に、静かな歌声が響く。低く、聴いていて心地の良い声。
聞いたことのないはずなのに、どこかで聞いたことのあるような懐かしさを感じる…そんな歌。
彼はふと、唄うのをやめた。そうすると今度は、鳥の囀りと小さな笑い声が聞こえてくる。
少しして、彼はまた唄い始める。先程とは少し違う旋律だが、これも何故か懐かしさを感じる。
彼の唄が終わる。僕は拍手をする。すると彼は心底驚いた様子でこちらを見た。
｢歌、上手だね｣
僕は彼にそう伝えた。彼は被っていた白い布で顔を隠しつつ、
｢…そうか。｣
とぶっきらぼうに返す。
半信半疑だったけど、顔を見て分かった。間違いない。

異能力を持った僕達が実験対象とされるこの国で、僕の兄弟は確かに生き延びていた。

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