We compete....

3.hk ページ3

「マジで意味わかんねぇ....っ」


「ふっかも罪な女だよねー、旦那と息子のこと翻弄しまくっちゃってさ。これが無意識なんだから、余計タチが悪い。」


「そう、そうなんだよ！！よく言ってくれた。やっぱりわかってんな、阿部は。」


「十五年の腐れ縁ナメんな。」


「どっからどう見ても俺とふっかは夫婦なんだよ！！」


「そこかよっ！！....まぁ、何でもいいけどさ。」


持つべきものはよくできた弟。


新しくできた菓子屋のモンブラン一個で相談を快諾してくれて、不覚にもちょっと可愛いと思ってしまった。


無論俺が好意を寄せるのは我が妻であり、阿部が佐久間の恋人である事実は揺るがない。


それ故に“よくできた可愛い弟”という表現がしっくりくる。


「あー....もうどうしたらいいかわかんねぇ....。阿部、俺どうしたらいい？」


「照はどうしたいのさ。」


「そりゃ今すぐ告白して恋人同士になれるならそれに越したことはないよ。でもさぁ、もしもフラれたらって考えるとさぁ....」


「お前は女子高生かっ！恋する乙女かっ！！」


「ふっか、女々しい奴は嫌いかな....」


「暗に認めるのやめてよ。しっかりしてよ。」


「もたもたしてる時間もねぇんだよ、ラウールに先越されたら相当ヤバいんだって。」


「だったらもう、ダメ元でアタックしてみればいいのに。」


「俺フラれたらもう一生笑えねぇ....っ」


「それは困る。マジな方で困る。」


「....なぁ、阿部。お前、俺のプリンセスとは十五年の腐れ縁なんだよな。」


「ぷ、プリンセス....！？」


「頼む、ふっかに俺のことどう思っているか聞いてきて欲しい。」


「はぁっ！？」


「お願い、マジでお願い....っ！」


「なんで俺が、」


「今度駅前に新しいカフェができるらしい。」


「....乗った。」


許せ阿部....。


ふっかをデートに誘うための下調べも兼ねていることは黙っておきたいと思う。


ほんと、マジで申し訳ねぇ。


「ついでにラウールのことをどう思っているのかも知りたい。」


「それはさすがに自分で聞けるでしょ？」


「明後日からコンビニで秋のスイーツフェアが始まるんだよ。」


「任せろ。」


これもふっかを我が家に呼ぶための、もしくはふっかの家に押しかけるための口実作りの下調べに過ぎないんだ....。


許せ、許せよ我が可愛い弟....っ


「ありがと、頼んだよ。....あー、なんかめっちゃドキドキする....っ緊張する....っ」


「だからやめろって乙女発言！！」

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