We change....2

18.mg ページ18

夜。


美味しいご飯と馬鹿デカい大浴場を楽しんで、さぁあとはもう紅白見て新年を迎えるだけというところ。


相変わらず姉ちゃんは、司会の櫻井翔様が映る度に声にならない声を上げて喜んでいる。


それどころか、Jrや他のグループでもキャイキャイ騒ぐからたまったもんじゃない。


なるほど、ラウ子はこれが嫌だったのかもしれないと一人納得した。


....しかしまぁ、綺麗だな。


風呂上がりの浴衣姿、髪は珍しく後ろで一つくくり。


何故か持参していたペンライトを振る度にぴょこぴょこ跳ねて、チラチラ目に入るうなじがなんとも....。


俺みたいなアホ中学生には刺激が強すぎるっての。


ねぇ....いつもより頬が赤いのは、さっき入った風呂のせい？


それとも櫻井翔様？


大晦日故の興奮？


もう何だっていい、すっげぇ可愛い。


「....姉ちゃん。」


「何？待って、今からカウコン中継始まるから。」


「....うぃ。」


は？


押し弱っ！！！


俺、こんなに小心者だったか？


さっきより更に楽しそうな姉ちゃんの後ろ姿....


....あぁ、嫉妬だよ。


何百人ものイケメン集団への嫉妬。


『激しいジェラシー、苦しい恋しい』


いつか姉ちゃんが口ずさんでいた歌の歌詞。


確か櫻井翔様のグループの曲ではなかったはずだけれど。


まさにそれだよ、今の俺は。


俺はこんなに近くにいるのに、姉ちゃんの気持ちは遠く離れた画面の向こう側の男達の元にあって。


なんでだよ、姉ちゃんは櫻井翔様が好きなんじゃなかったの？


なんで他の男にも熱視線を送るんだよ。


ジャニヲタってそういうもんなの？


ねぇ誰か、教えてよ。


『5、4、3、2、1っ！！あけましておめでとうございまーす！！！』


『光一さん、お誕生日おめでとうございまーす！！』


....一応、年が明ける瞬間は跳んでおいた。


俺年明けの瞬間地球に居なかったんだぜ、的な。


姉ちゃんはチラッと俺の方を見て、「あけましておめでと、蓮」と早口で言い終わるや否やテレビに視線を戻した。


あーもう腹立つ。


「あけましておめでとう、姉ちゃん。今年もよろしく。」


そう言って後ろから抱きついてみたけれど、姉ちゃんは動揺するどころかペンライトを振る手を止めることもしない。


ウチはばーちゃんやラウ子、父さんにさっくんもスキンシップ激しいからな....。


これくらいは日常茶飯事、ですか。


ちょっとくらい照れてくれたっていいんじゃねぇの？


まったく、こっちの気も知らないで。

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