スターゲイザー【短編集 / 3】

貴女だけの執事【スティンガー】リクエスト ページ18

「……ま……て…さぃ…」

A「ん……ぅ…」

「……さ…ま……きて…さい…」

ゆさゆさと揺さぶられる感覚に、うっすらと目を開く。

A「っ……んん…」

「…じょ…さま、おき…ください…」

その声に目を覚まし、Aはゆっくりと目を開けていく。

A「ん……っ」

「お嬢様、起きてください…！」

はっきりと聞き取れた声の先には、困ったような表情を浮かべているスティンガーの姿があった。

A「すてぃ……んが…？」

スティンガー「やっと起きたか…。
……お嬢様？目を覚ますだけではダメです。ちゃんと起きてください」

そう言いながらスティンガーが毛布を取ろうとすると、Aに拒まれる。

スティンガー「…っ、お嬢様…」

A「うぅ…やだ、寒い…取らないで…」

スティンガー「おい…！
はぁ…このままにしておくと起きてこないから言っているんですが…」

ため息混じりにそう言うと、Aはむっとした顔でスティンガーを見つめる。

A「寒い…んだもん…」

その言葉と表情に、スティンガーは思わず力が緩む。

A「！」

Aはその瞬間を逃さず、毛布をばっと自分の方に引いて抱き締める。

A「僕の勝ち〜。って事で…寝かせてね」

スティンガー「なっ、おい、お嬢様！」

A「スティンガーっ、今日くらい良いでしょ…？お願い…！」

スティンガー「ダメなものはダメです。
眠りすぎるのもよくない事、知ってるか？」

A「そ…れは…知ってるけど…」

スティンガー「なら起きてくれ。
お嬢様に何かあったら……俺が困る…」

スティンガーは誰にも聞こえないような声でそう小さく呟く。

A「…？何か言った…？」

スティンガー「べっ、別に…何も言っていない」

A「……スティンガーって、僕の事どう思ってる？」

スティンガー「…はぁ？///」

A「ね、どう思ってるの？」

スティンガー「そ…れは…だな…」

A「…？」

スティンガーはAに向かって好きだなんて言えるはずもなく、ごまかすように毛布を奪う。

A「うぁあっ…！な、なんで取っちゃうの…！？」

スティンガー「Aお嬢様が起きようとしないからに決まっているだろう」

A「うぅ〜…もう、こうなったらぁ…」

スティンガー「？どうするつもりですか」

A「毛布なくても…寝る」

貴女だけの執事【スティンガー】(終)→←貴女だけの執事【ラッキー】(終)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す