呪文81 ページ34
グレン「シノアは初太刀で殺せた。
Aも殺せる。二人戦死だ。
指揮官も失った、おまえらは終わりだ」
気分が悪くなるほど辺りを掌握していた幻術が晴れる。
身体を焦がしていた神懸かり法も解いた。
途端銃を向けようとして踏みつけられている左手が痛みだす。
グレン「黒鬼装備が三人もいて
このザマはなんだ?
特に君月と与一、量産型のAが
時間稼いでたんだからもっと速く来いよ」
しんとしていた野次馬が少し騒ぐ。
量産型というキーワードが引っ掛かったんだろう。
グレンはようやく私を解放して、立ち上がった。
グレン「さて、つーわけで久しぶりの新人だ!!
全員16!!黒鬼装備が三人いるが
まだ16のガキばかりだ!!
おまえら面倒見てやってくれ!!」
倣うように、立ち上がる。
その意識だけは、少し先の未来を見据えて。
黒鬼とぶつかって、それでも折れずに己を保つ槍を畳む。
人間は、協調重視の団体戦。
数だ。圧倒的な数と、演算された技術を携える。
なら私は。
一人取り残された魔女は。
どう彼ら人間を。そして、吸血鬼さえも
出し抜けば良いのだろう。
魔力という理解されない、それこそ想定外のものを、"普通"の人間程度の身体を以てして、彼らの思考を飛び越さなければ
私は負ける。そこで終わる。
そしてきっと、今度こそ。
魔女が終わる。
文字通り消える。
そしてそれは、
世界が救われないことを意味する。
世界は魔女を殺したことを悔やみ、
加害者となった人間や吸血鬼を恨みながら
終焉を迎える。
なんのことか?
日が沈むまでには答が見えるでしょう。
私は人間を、裏切るためにここにいる。
裏切った吸血鬼を、後悔させるために
ここで密かに、静かに、ただ待っている。
時雨「時間です!!それぞれの編成チームは
まとまって名古屋への移動を
開始してください!!
貴族殲滅任務を開始します!!」
家族を。
あの日見失った仲間を。
閉ざされたこの空間を抜け出すことを。
安寧を、魔女を思い焦がれて。
そして。
人間も。裏切り者も。利用されている者も。
全員救うために。
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cocolove420(プロフ) - 面白いお話で続きが気になります!これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年9月30日 15時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルカーヌ | 作成日時:2017年4月5日 13時