検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:13,936 hit

呪文81 ページ34

グレン「シノアは初太刀で殺せた。
  Aも殺せる。二人戦死だ。
  指揮官も失った、おまえらは終わりだ」

気分が悪くなるほど辺りを掌握していた幻術が晴れる。

身体を焦がしていた神懸かり法も解いた。

途端銃を向けようとして踏みつけられている左手が痛みだす。

グレン「黒鬼装備が三人もいて
  このザマはなんだ?
  特に君月と与一、量産型のAが
  時間稼いでたんだからもっと速く来いよ」

しんとしていた野次馬が少し騒ぐ。

量産型というキーワードが引っ掛かったんだろう。

グレンはようやく私を解放して、立ち上がった。

グレン「さて、つーわけで久しぶりの新人だ!!
  全員16!!黒鬼装備が三人いるが
  まだ16のガキばかりだ!!
  おまえら面倒見てやってくれ!!」

倣うように、立ち上がる。

その意識だけは、少し先の未来を見据えて。

黒鬼とぶつかって、それでも折れずに己を保つ槍を畳む。



人間は、協調重視の団体戦。

数だ。圧倒的な数と、演算された技術を携える。

なら私は。

一人取り残された魔女は。

どう彼ら人間を。そして、吸血鬼さえも

出し抜けば良いのだろう。

魔力という理解されない、それこそ想定外のものを、"普通"の人間程度の身体を以てして、彼らの思考を飛び越さなければ

私は負ける。そこで終わる。

そしてきっと、今度こそ。

魔女が終わる。

文字通り消える。

そしてそれは、
世界が救われないことを意味する。

世界は魔女を殺したことを悔やみ、

加害者となった人間や吸血鬼を恨みながら

終焉を迎える。

なんのことか?

日が沈むまでには答が見えるでしょう。




私は人間を、裏切るためにここにいる。

裏切った吸血鬼を、後悔させるために
ここで密かに、静かに、ただ待っている。


時雨「時間です!!それぞれの編成チームは
  まとまって名古屋への移動を
  開始してください!!
  貴族殲滅任務を開始します!!」


家族を。

あの日見失った仲間を。

閉ざされたこの空間を抜け出すことを。

安寧を、魔女を思い焦がれて。







そして。


人間も。裏切り者も。利用されている者も。

全員救うために。

呪文82→←呪文80



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
50人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

cocolove420(プロフ) - 面白いお話で続きが気になります!これからも頑張って下さい!応援しています! (2017年9月30日 15時) (レス) id: 66c6f3f00c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:アルカーヌ | 作成日時:2017年4月5日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。