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6、人肌、とは何でしょうかね。 ページ10

(芥川side)

 「此れさ」

 「なッ____




 樹木?」

 Aは、其処に生えていた杉に、手袋を外した手を添えていた。

 「嗚呼。そうさ。だから、わたしの部屋は基本木製家具しか置いていないだろう? リンタロウが全て用意して呉れていてね」

 そう云われると、成る程確かにAの自室、と云っても首領の自室の直ぐ隣で、行き来できるように成っているのだが、其処は一面ダークブラウンで、初めて足を踏み入れた時はまるで異世界の様な空間だ、と柄にもなく思ったのを覚えている。

 「だからねえ、其れ以外のモノは触れない。塩に成る瞬間さえも、触った感触すら無いのだよ。だから、正直モノを見て『気持ち悪い』って感覚も、よく掴めない。だって、其れがわたしに中っても、何も感じないんだもの」


生ゴミは例外だけどね、なんて云ってAは小さく笑う。確かにあの臭いはいつまでも慣れない。

然し笑ってはいるが、その目は切なさで揺れていた。その目を見た時、殆ど体が勝手に動いたと言っていいほど静かにAに手を伸ばした。

「っ?!」

Aは条件反射で身をひこうとするが、その手はAの頭に置かれ…然し何も起きなかった。


僕の手首あたりまでが黒布に包まれていたからだ。無意識に発動していたため、仕組みはよく分からない。


「天魔纏鎧」の様に殺気は込められていなかった。まるで異能力が主人の心を反映したかの様だった。


よく見ると何重にも巻かれているようだ。塩にはなっているのだろうが何も起きていないように見える。

「どうしたの芥川君。疲れちゃうんじゃないの?」

Aは少しおどけたように云ってその腕に手を伸ばそうとするが、何故か「五月蝿い」と止める。

我ながら何故五月蝿いなのかは分からないが、誤魔化すように口を開く。

「お前はよく溜め込みすぎなのだ。偶には僕らにも頼れ。」

眉間に皺を寄せて目線を逸らす。心無しか顔が熱い気もするが、気の所為であって欲しい。


そんな僕を見てAはクスリと微笑むと「ありがとう」と呟いた。


その笑顔はあまりに美しく、あまりに悲しげで、僕の心はいとも簡単に打ち抜かれた。

 もしかすると此は、前に何かの小説で読んだ、『恋』と云う感情なのかも知れぬ。

 殆ど直感で、そう思った。

「ん? 芥川君、如何かしたかい?」

 上目遣いで僕の顔を覗き込むAは、透き通る程純粋で。

 嗚呼、刻が来るまでは、


 此の気持ちに蓋をしておこう。

 

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本日のやつがれ予報!

やつがれ


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設定タグ:芥川龍之介 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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羅生門 - 大丈夫かい?花川君。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 龍之介君、ツボ推そうか?君といたらこっちまで君に感情輸入しちゃって大変な事になりそうなんだ。…咳を止めたくば血を抜け。私もそうした。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 私の口癖、『可哀相』。それしか無いな。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
どどるげふ(善逸大好き) - 更新お待ちしておりましたーーー!!!!! もう更新されないのかと思ってましたが、毎日覗きにきたかいがありました(>_<)これからも更新頑張ってください*(^o^)/* (2021年2月14日 20時) (レス) id: 6deb9162af (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - くりぇーとかさん» ありがとうございます!!自分たちの趣味ドストライクの子なので…!お気に召しました様でめっちゃ嬉しいです!!!何分そら豆の低浮上と私の掛け持ち(おい)でのんびりにはなってしまいますが…恨まず気軽に待ってやって下さい! (2018年12月20日 17時) (レス) id: 277371ed72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そら豆・千風 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年5月11日 20時

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