2、暗殺 ページ6
「あ、Aちゃん、一寸待って」
ドアを閉めようと手を伸ばすと、リンタロウに呼び止められた。
「まだ何か在るのかい?リンタロウ」
わたしが問うと、リンタロウは何時になく真剣な眼をして云った。
「……Aちゃん、君は人間が嫌いかね?」
一瞬、リンタロウが何を云っているのか理解出来なかった。人間が嫌いかだって?其れが如何したと云うのだ。一呼吸置いて、わたしは口を開いた。
「勿論嫌いさ。__わたしが触れて塩に成るものは、殆ど」
あ、でもリンタロウは好きだよ、と付け加えると、リンタロウはふっと笑った。
「そうか。……芥川君は、好い子だよ」
全く、今日のリンタロウは如何せん可笑しい。今の話に芥川君は関係ないだろうに。
「? 嗚呼、判った。では行ってくるよ。そうだ、今日の晩は奢って呉れ給え」
そう云い残し、今度こそわたしはリンタロウの部屋を後にした。
* * *
「で、此処が__」
「標的の家だな」
絵に描いたように幸せそうな家だな。芥川君と二人で辿り着いた場所を見て、咄嗟にそう思った。
或る一家の暗殺。此が、今回の任務だった。如何やら此の一家の息子に、わたしたちポートマフィアの取引現場を目撃されたそうなのだ。其の時にさっさと口を封じれば善かったものを、取り逃がしてしまった。成る可く早急に解決しなければ成らないが、既に数時間が経っている。其れなら、息子から事を聞いてしまったかも知れない親兄弟共々殺して仕舞った方が合理的だ、と云うことでわたしが始末するハメになった。確かに、リンタロウの考えそうなことだ。
「A、大丈夫か」
芥川君が、わたしの顔を覗き込む。
「……何がだい」
「……別に」
「行くよ」
「嗚呼」
単語だけの会話にピリオドが打たれ、芥川君が静かに小綺麗なフレンチドアを破壊した。
「やあやあ皆さん。お邪魔して悪かったね。なあに、一寸面倒なことを片付けに来ただけさ。直ぐに終わる。抵抗しなければね」
わたしが声を張り上げ乍ら倒れたフレンチドアを踏みつけると、奥から悲鳴が聞こえた。
「なッ!貴様等……。ポートマフィアか!」
どうやら父親らしい男性が、刃物を持って立ち塞がる。
「息子は居ない!帰って呉れ!」
男がそう云った途端、壁際のクローゼットがカタカタと揺れた。
「そうかい。じゃあ__」
わたしは、頭に掛けている狗の面を顔に付け乍ら、ニイッと嗤った。
本日のやつがれ予報!
やつがれ
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羅生門 - 大丈夫かい?花川君。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 龍之介君、ツボ推そうか?君といたらこっちまで君に感情輸入しちゃって大変な事になりそうなんだ。…咳を止めたくば血を抜け。私もそうした。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 私の口癖、『可哀相』。それしか無いな。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
どどるげふ(善逸大好き) - 更新お待ちしておりましたーーー!!!!! もう更新されないのかと思ってましたが、毎日覗きにきたかいがありました(>_<)これからも更新頑張ってください*(^o^)/* (2021年2月14日 20時) (レス) id: 6deb9162af (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - くりぇーとかさん» ありがとうございます!!自分たちの趣味ドストライクの子なので…!お気に召しました様でめっちゃ嬉しいです!!!何分そら豆の低浮上と私の掛け持ち(おい)でのんびりにはなってしまいますが…恨まず気軽に待ってやって下さい! (2018年12月20日 17時) (レス) id: 277371ed72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そら豆・千風 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2017年5月11日 20時