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18、悲哀か渇望か其の弐 ページ23

「!」


「甘い!」


床に転がった泉君を踏みにじり、わたしは続けた。

「では聞くが、君は此れから先、一度も暗殺に失敗しない自信が在るかい? 否、違う。成功を重ねる度、我々は何時も失敗に怯えながら生きねばならない。失敗とは詰まり死だ。よってこれは、




  __君を生かす為だけの訓練だ」





泉君は一瞬、目を見開いた。



「もしも……もしも、君がミスを犯したとき。君は正面から、君より何十倍も強い敵と戦わなくてはならないかもしれない。わたしは君を守らねばならない。……其れが、師の役目だろう?」




彼女を捕らえていた足を退け、鉄格子を開ける。



「訓練は……?」


「今日は止めだ。気が乗らない」


わたしは振り返ることも、暖かい言葉を掛けることもせず、無表情に牢を去った。









……暖かい言葉を掛けることもせず?





否、違う。泉君には明らかに江戸雀(おしゃべり)が過ぎた。








彼処まで云ったら、泉君はきっと芥川君には成れない。






わたしが泉君に指導する理由を云ってしまった。





「違っ……わたしは、」



言い訳や自己弁護の言葉も紡げない。




「っ!!」



ダンッ、と音がしたと思ったら、自室の壁に拳をぶつけた音だった。



パタパタと血が滑ると、木でできている筈の壁板が一枚、白い粉末になった。





……わたしの異能は何とも利己的(エゴイスティック)で、仮令其れが異能の通じない物質でも、自分に危害を加えた物は等しく塩に成る。



わたしは其処に座り込み、たった今塩に成ったモノを眺めた。








「っ__」






痛かった。






其れは、実に久しい感覚だった。








わたしは反射的に狗のお面に顔を埋めた。








そうしないと、何かが零れてなくなりそうな気がしたから。







嗚呼、わたしは実に如何かしている。




たかが娘っ子ひとりに取り乱すなんて。





嗚呼、わたしは実に如何かしている。









 







こんなとき、芥川君が傍に居てくれたら、なんて。









 









嗚呼、そうさ。







わたしは泉君を、芥川君にしたかった。






そうすれば、泉君は、マフィアで生きていけると思ったから。



否、違うか。



そうすれば、芥川君が救われると思ったんだ。




わたしが彼の人の代わりになれば。







嗚呼、そうさ。









わたしだって、今日も今日とて彼の人の背中を追ってるんだ。







 

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本日のやつがれ予報!

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設定タグ:芥川龍之介 , 文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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羅生門 - 大丈夫かい?花川君。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 龍之介君、ツボ推そうか?君といたらこっちまで君に感情輸入しちゃって大変な事になりそうなんだ。…咳を止めたくば血を抜け。私もそうした。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
羅生門 - 私の口癖、『可哀相』。それしか無いな。 (2021年3月31日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
どどるげふ(善逸大好き) - 更新お待ちしておりましたーーー!!!!! もう更新されないのかと思ってましたが、毎日覗きにきたかいがありました(>_<)これからも更新頑張ってください*(^o^)/* (2021年2月14日 20時) (レス) id: 6deb9162af (このIDを非表示/違反報告)
千風(プロフ) - くりぇーとかさん» ありがとうございます!!自分たちの趣味ドストライクの子なので…!お気に召しました様でめっちゃ嬉しいです!!!何分そら豆の低浮上と私の掛け持ち(おい)でのんびりにはなってしまいますが…恨まず気軽に待ってやって下さい! (2018年12月20日 17時) (レス) id: 277371ed72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そら豆・千風 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年5月11日 20時

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