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Aと2人きりで呼び込み……
しかも腕まで組んで周りから本当にカップルみたいに思われるのでないかと胸の鼓動が鳴り止まない。
とにかく何か話さないと、と声を出そうとするも緊張しまくって全然声が出ない。これじゃ話すどころか呼び込みもできない。
これから俺は一体どうすればいいんだ!!と思っていると、彼女から声をかけてきた。
『ねぇてつや……昨日の事なんだけど……』
て「……!!」
『あんな事言われたの初めてで…何て返事したら良いのか分からなくて、それに周りに結構クラスの人もいて恥ずかしくて……でも、てつやの事嫌いになったわけじゃねーから!!』
て「……ッ!!」
良かった。俺の事嫌いになってなかった。俺は彼女の言葉で緊張が解れて元気を取り戻した。
て「ありがと!!んじゃ、呼び込み頑張るとするか!!」
『分かったからそんなに力を入れるな。脇に手が挟まってる』
て「あ、ごめん…」
なんだかんだとありながら俺達は呼び込みをしつつ学祭を楽しんだ。
「川嶋さんお疲れ〜」
『お疲れ』
学祭が終わったせいで、いつもの男っぽいAの姿に戻った。今となって写真撮れば良かったと少し後悔している。
『じゃあ先に帰るね』
Aが先に帰ろうと教室に出ようとした瞬間、俺は「待って!!」と呼び止めた。
て「一緒に帰ろう」
『……え?でも、てつや逆方向じゃ』
て「送ってく」
『え?何言ってんだ?必要ねぇ……』
て「もう暗いから行こう!!」
『ちょっ、引っ張るな!!』
俺は彼女の腕を引っ張って生徒玄関まで向かった。
辺りは既に真っ暗で、すれ違う男がいつAに襲ってくるのかも分からない。俺は彼女の身を守りながら、薄暗い路地を歩いていた。
……ん?そういや俺、彼女に謝ってなくね?
しまった!!俺がした事が!!送ってく事に夢中で謝罪するの忘れてた!!
俺の馬鹿馬鹿ァ!!今にでも電柱で頭を叩きたいのに……!!
『──や。てつや!!』
て「……!!なに?」
『私の家着いたんだけど』
て「……えっ?」
いつの間にやらAの家に着いていた。どうしよう。こんなにも2人の時間があったのに結局何も話してない。
『ありがとな』
て「……ッ!!ねぇA」
『なに?』
て「俺……」
『……?』
て「これからAの傍にいる男になるから」
『……は?』
て「じゃあまた明日」
俺はそう告げて自宅がある方向へ走って行った。
『……変な奴』
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2022年3月20日 19時