12 ページ12
『ゴホッゴホッ!!』
息苦しく咳き込むA。本人は大丈夫と言ってるが、俺から見たら全然大丈夫に見えない。
ちょうど別の駅に着いたから、俺は彼女の手を引っ張って電車から降りて病院へと向かった。
『もう大した事ないのに』
て｢でも何か病気になったら……｣
『大丈夫だって』
｢川嶋Aさーん｣
『あ、呼ばれた。行ってくるから、てつやはここで待ってて』
て｢でも……分かったよ｣
俺はAの言葉を信じてロビーで待つ事にした。
きっと単なる風邪だろうと2人とも信じてたが
まさかな結果が出てくるとは当時の俺は知らなかった──
『……お待たせ。終わったよ』
て｢案外遅かったね｣
『う、うん……ちょっと混んでてね』
て｢それで結果は？｣
『ただの風邪だって。薬も貰ったよ』
て｢そっか〜良かった〜｣
『ごめんねてつや……』
て｢いいよ。早く良くなるといいね｣
『早く……ね…』
Aの様子がおかしい。俺なんか言ったかな？
て｢……A──｣
『……よし。帰ろう!!私お腹すいた!!』
俺は彼女に声をかけようとした瞬間、いつものAに戻った。いきなりな事だったから俺も少し驚いた。
て｢お腹すいたって、何食べるの？｣
『んー…チーズ牛丼!!』
て｢病人が食べるご飯じゃないから｣
『でも、てつやも食べたいでしょ？』
そんな事言われると俺の腹の音がぐぅーと鳴った。
て｢んじゃ今日は俺が奢って差し上げよう｣
『おっ!!てつや太っ腹ー!!』
俺とAはルンルン気分で病院を出て、すき家へ向かった。
あの時、Aの症状をきちんを聞いとけば
少しは変わってたのかなぁ……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぺぺぺ | 作成日時：2022年3月20日 19時
