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あの時首筋に残されたキスマーク
私は洗面所の鏡で確認すると、くっきりと赤く印されていた。
この印はそんな意味じゃなくても、それは明らかに所有印で……ッ
気を抜くと思い出して顔を赤くする事もあるが、きっととしみつさんにとっては大したことじゃないと思ってる。
でもどうして──
『お先に失礼しまーす』
後片付けが終わり退勤する私。
今日も疲れたなぁ……今日は何食べよう。
「…ナリさん?」
マンションの玄関前、私は誰かに呼ばれ振り向くと男性の姿があった。
見ない人だ……私のことバディ名で呼んでたからもしかして視聴者さん?
「僕ナリさんのファンで」
『はぁ……ありがとうございます』
なんだ…私のファンか……バディとして動画に出る事はあんまり無いが、自分のファンがいるって少し嬉しい。
「岡崎市のどこにいるか分からないから数日前から調べてさ……そしたらそこのマンションから出てくるところ見かけてね、今日の朝からずっとマンションの傍で待ってたんだ」
朝からずっと待ってた……?
それってもしかしてストーカー……!?
なんかやばい気が……
『あ、あの……私……』
「……A?」
今度は聞き覚えのある声。そこにはとしみつさんの姿があった。
『としみつさん』
と「………悪かったな。動画の材料頼んで」
『えっ!?えっ……!?』
としみつさんは私の手を差し引いてマンションのエントランスへと引っ張っぱりエレベーターに乗った。
『あ、ありがとうございます…』
と「何だあいつは」
『分かりません……私のファンって言ってマンションの近くで出待ちしてたって……』
と「それってストーカーだろ…警察に連絡して……部屋番号まではバレてんのか?」
『そこまでは……』
こんなに家バレまでされてるのなら、バディを辞めて引越しも……
と「……俺んとこ来るか?」
『……!?』
今としみつさん俺のとこに来るかって言った!?
それってもしかしてとしみつさんの部屋に住むってこと!?
と「住むっつっても、同じマンションだからお互い家バレしてるのは多分確定だ。だから高岡さんに相談してスタジオで居候するんだ」
『別にとしみつさんまでスタジオに居ようとは…それに私と暮らすんですよ』
と「言っただら。お前は俺のバディだ。困ったことはお互い助けるもんだら」
『……よ、よろしくお願いします……』
こうしてとしみつさんは高岡さんに連絡をしてみた。
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作者名:コロッケ | 作成日時:2023年11月1日 5時