28 ページ28
.
と「──い!!おい!!A!!起きろッ!!」
『ふがッ!!……としみつさん?』
あれ…私いつの間に寝てたんだろ
と「朝だぞ!!何でこんなとこで寝てんだ!!帰れって言っただろ!」
『そ、それはとしみつさんが帰さなかったからですよ!!』
と「はぁ!?」
私は『ほら!!』と掴まれたままの手をとしみつさんに見せた。
と「……!?」
『分かりますけどね!病気で心細くなる人いますよね!!』
と言いながら少し嬉しかった自分だけど…
『わ、私今日の撮影の準備しないといけないので先に行きますね!!』
と「おい……ッ!!」
私は急に恥ずかしくなって、としみつさんの部屋から出て行った。
私は自室に戻ってとしみつさんに握られた手に触れた。
まだ握られた手が温かい。それにどこか懐かしい感じが……
もう少し2人でいれる時間があれば──なんてね。
***
『ハックション!!』
て「ナリちゃん風邪?」
『はっくょ!!すみませんマスクします!!』
としみつさんの風邪が移ったのかな?
この間も風邪ひいたばかりだし、皆さんに移ったら困るからマスクして……っと。
今日も予定がたくさんだ。
たしか次は──と考えながら廊下を歩いてると……
『……ぶ!!』
しまった!!考え事してたせいで誰かにぶつかった!
『す、すみません!!』
り「あれ?ナリちゃん?大丈夫?」
ぶつかった相手はりょうさん。
いつ見ても背が高いなぁ……
り「マスクしてるけど風邪ひいたの?熱は?」
そう言いながら私の額に触れるりょうさん。
急に触れてきたから少し驚く。
り「……うん。熱は無さそうだね。無理しないでね」
りょうさんはニコッと笑いながら私の頭を撫でて皆がいる方に消えていった。
りょうさん……なんて優しいんだろう。
どこかの誰かさんとは違って……
と思っていると、背後から誰かが私の頭をチョップしてきた。
『痛ッ!!誰ですか…ってとしみつさん!!』
と「何ニヤついた顔してんだ」
『ニヤついてなんか……って、体調は大丈夫なんですか?』
と「本調子じゃないけど、昨日よりはマシだ」
良かった……としみつさんに何かあったらもう──
と「……ありがとな」
『……ッ!!』
としみつさんは私の頭を撫でてくれた。
さっきのりょうさんより優しく、そしてこの前の手の温かさが──
……思い出した。私初めてとしみつさんに会った時、この手で撫でてくれたんだった。
私やっぱりとしみつさんのこと──
好き
23人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:コロッケ | 作成日時:2023年11月1日 5時