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と「……到着っと」
としみつさんの運転で東京に着いた。
スタジオ会社は予想以上に大きくて、こんな所に来ていいのか少し不安になってしまう。
中に入ると担当者さんがスタジオまで誘導してくれて、早速レコーディングが開始された。
今日収録する曲は恋愛ソングのカバー。
としみつさんは部屋に入りヘッドホンを着けて歌い始めた。
私は外で彼の歌声を聴く。
と「〜♪」
私はCDでしか聴いたことないが、としみつさんの歌声は透き通っていて好き。
今初めて生で聴けて嬉しい。
1時間後……
何度も歌ってる中、担当者から指摘が入った。
と「〜♪」
「うーん。何か感情が欠けてる感じがするね」
と「感情ですか?」
「この曲は初恋した男性が女性に送る曲だから、好きな子の事を考えて歌ってみて」
と「わかりました」
その後としみつさんは何度も何度も歌い直した。
でも納得する歌い方ができなくて顔が不機嫌そうに見える。
私は素敵だと思うも、本人はイマイチだと首を傾げている。
と「すいません。もう1回お願いします」
と「〜♪」
と(上手くいかねぇ…)「もう1回お願いします」
「……ちょっと休憩入れようか」
と「……はい」
どうやら休憩が入るようで、としみつさんはヘッドホンを外し部屋から出てきた。
『としみつさん…』
と「わりぃ……頭冷やして来る」
と私の前から姿を消し、どこかに行ってしまった。
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2021年9月14日 20時