虎ト白鯨、葡萄ト人形ー 呪い ー ページ44
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Qは己の異能を拒絶した。
大粒の涙を流しながら、ただ普通の子供と同じ様に、楽しく生きたかった事を述べる。
「......こんな力 ほしいと思ったことなんて一度もない。なのに、どうしていつも こんなひどいことばかりぼくに起こるの?」
「......... そうだね」
スタインベックの
Qは己の心情を吐露した。彼だって異能を持った人間だ。相手の気持ちに全くの同情が出来ないと云う訳では無い。
Aも、表情を僅かに曇らせていた。
幼い子供を地下に閉じ込め、拷問をする様に命じられている。激痛に泣き叫ぶQの姿を見て、胸が痛まない者は居ないだろう。
何とも痛々しい姿だった。
彼だって、別に好きでこの様な行動を起こした訳では無い。
金と権力は、恐ろしい武器だ。
何も持っていない人間を簡単に支配するだけでは飽き足らず、其れを持つ者の性質迄歪めてしまう。
「『どうして ぼくだけが』と 訊いたね___ 教えるよ。君が苦しむのは、
「......!」
彼の言葉は、深く深くQの心に突き刺さった。哀しげな表情のQに構わず、スタインベックは話を続ける。
「君がそんな力を持って生まれた以上、この結末以外ありえなかったんだ。」
“ 神様は居るよ ”
“ でも、君を愛してはいない ”
其の
言葉は金と権力に劣らぬ武器だ。
人を勇気付け、前に進ませる糧にもなる。だが一つ間違えれば人を傷つけ、命を簡単に奪ってしまう。
今回は紛れも無く、後者の方だ。
「
涙を流し、Qは世界に憎悪を抱いた。
「呪われてあれ! 呪われてあれ! 呪われてあれエェ!!!」
スタインベックは、少々哀しげに眉を下げ笑った。Aの方に瞳を向けると、
「こうなってしまったら、もう止められない」
「.....街と一緒に、私も死んじゃうのね」
「.........」
彼女の白い頰に手を伸ばした。
詛いは発動し、街の人々は狂乱するだろう。街は焼け野原と化し、大勢の血が流れる未来が見えた。
スタインベックの心は、揺れていた。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時