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望ム場所ニ居ル為ニ ページ34

×××


組合が突然の襲撃を仕掛けて来た後、私は(かつ)ての自分が居た場所をずっと彷徨い歩いていた。其処に向かえば、何かが判る様な気がした。

裏路地や貧民街。
其れは何処も見ても、冷たくて暗い。深い深い闇に包まれていた。彷徨い歩き判った事、其処はもう、私の居場所じゃなかった。

もう一度彼方側(ポートマフィア)に戻る事だって、全く考えなかった訳では無い。
けれど私は、二度と過ちを繰り返したくなかった。


「......それより先ずは、組合の対処。 あれ」


これ以上話してしまったら、屹度(きっと)今、要らない事まで喋ってしまう。
優先するべきなのは、組合だ。私は話を殆ど無理矢理終わらせ、物陰からこっそりと顔を出すと指を差す。


「何処にも爆発騒動なんて無いようです。通報は悪戯ですね、全く!」

「そうか......悪戯で何よりだ」


倉庫から少しだけ離れた場所に、車が一台停車していた。側には二人の男が居る。一人は二十代そこそこの若い男、もう一人の方は五十代後半から六十代位の年配者だった。
白と黒の二色の色合いが特徴の車体には、大きく“ POLICE ”と云う文字が見える。

彼等は市の警察官だ。


「偽の通報で市警を呼んでおいた、警察と一緒なら組合も気軽に手出し出来ない......来て」

「......鏡花ちゃん、如何して戻ったんだい?」


彼はまるで、引き止めるかの様に私に尋ねてきた。


「行方不明の儘でいれば、戦争に巻き込まれずに済んだのに」

「私の居場所は......探偵社だけだから」


明るい世界、陽の当たる世界を見せてくれた。私は貴方に出会って、生まれて初めて“ 成りたい ”ものが出来たの。
自分が“ 居たい ”と、強く望む場所が出来たの。

だから、私は戦う事を決めた。
望む場所に居られる様に、成りたいと思うものに近づく為に、今回の戦争で必ず勝たないといけない。


仮令(たとえ)、自分の中に潜む 何を使っても......」


×××

摑ム光ハ砂ノ如ク砕ケ散ルー 上 ー→←追ワレテ、隠レテ



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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時

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