異能力戦争ー ポートマフィア ー ページ10
×××
「チッ これだから外部の奴等は信用出来ねぇ」
気絶させられた男達を見た中原は、舌打ちをした。彼等は探偵社の社長を暗殺する為に、中原が手配した外部の暗殺者なのだが、如何やら返討ちに遭ったらしい。
耳に付けた小型の通信機で、中原は首領の森に報告を入れる。
「首領 襲撃は失敗です、尾行も付けましたが____」
『腐っても探偵の親玉だ 尾行されるほど、柔じゃあないさ』
恐らく、尾行に付けた刺客も福沢に倒されている。森も其処までは簡単に予想する事が出来た、十把一絡げの刺客に福沢が簡単に負ける筈が無い。
其れは彼が一番理解している。外部の暗殺者に、福沢を倒せるとは大して期待していない。
だから、彼は或る一寸した仕掛けを施す事にした。
『善いよ、予定通りだ......刺客の袖に付けた____
ただ刺客を差し向けるだけでは、探偵社を潰せるとは思っていない。彼等が倒されると判った上で、森は刺客の服の袖に特殊な塗料を塗っておいたのだ。
中原はポケットに手を入れて、端末を取り出す。映し出された画面は街の地図で、一箇所だけ赤い点がチカチカと点滅を繰り返していた。
「反応は良好」
『其処が探偵社の隠れ家だ』
一点先取 ____
『最後に残るのは 我々だ』
***
中原との通信を終え、森はこの後の策を考える。探偵社はマフィアと比べて人数は少ないが、油断は禁物だ。彼処には嘗ての部下であった太宰が居る、彼は悪巧みが働くから屹度姑息に抗ってくるだろう。
「......あの子は、如何動くだろうか」
「最近 リンタロウはあの子の事を考えてばかりね、気になるの?」
襞がたっぷり装飾されたドレスに身を包んだエリスが、本を読む手を止めて森の方を見る。
尋ねられた森は、困った様に苦笑をすればエリスの問いに答えるのだった。
「そりゃあね、あの子は賢い分 時々突拍子の無い行動を起こす癖があるんだから......昔から手を焼いたものだ」
「過保護、リンタロウの中年」
「非道いよエリスちゃん! でも可愛いから赦すッ」
エリスの毒舌に、少々心に傷を負う森だったが彼女の格好が余りにも愛らしい為、あっさりと赦してしまった。
机の上に置かれた一つの写真立てに目を向けると、彼は目を細める。
「......君は変わらないね」
其処には未だ若かりし頃の森が、少々不貞腐れた表情を浮かべる琥珀色の瞳の少女と、笑顔で写真に写っていた。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時