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潮風ハ裏切リノ薫リト共ニ ページ8

×××


潮風が、私の髪を揺らした。
ヨコハマの街を豪華客船に乗り、海の上から観るというのも、偶には悪くない。少々船に慣れていないから、体調管理に気を付けないといけないのが唯一の難点だ。

私の予想通りなら、今頃あの場所は其々動き出していると思う。今のところは順調に進んでいるから、失敗(ミス)をしなければ何も問題は無い筈だ。


「そんな格好をしていたら、身体を冷やすよ」

「......! あら、有難う」


ふわりと肩に掛けられたのは、灰色のストールだった。薄手のものだが、肩を露出させたドレスを纏っていた私にとって、有ると無いとじゃあ全然違う。声を掛けて来た人物の方を振り向くと、私は一言礼を云う。


「如何致しまして、風邪を引かれたら困るからね」


『組合』職人
ジョン・スタインベック


___ 能力名
『怒りの葡萄』


スタインベックは、ハンチング帽を被り直すと、船の欄干に凭れ掛かって空を見上げる。コバルトブルーの瞳は、此の空では無い何処か遠くを見詰ている様にも思えてしまい、私は敢えて彼に声を掛ける事はしなかった。

少し離れた処では、組合の長である『フランシス』さんが船上でのクレー射撃を楽しんでいる。正直、銃は余り好きではない。撃った後の火薬独特の匂いや、銃弾が撃たれる度に響き渡る銃声が苦手だからだ。


「君も中々、大変な役を演じる羽目になったよね」


沈黙を破る様に、空を見上げていた筈のスタインベックが私に声を掛けて来る。彼の影を帯びた瞳は、何時の間にか空では無く、私の方に向けられていた。


「キツかったんじゃない? 君は悪役に成りきれないから......自ら諜報員(スパイ)になって、彼等を騙すのは堪えただろう?」

「......さあね」


穏やかな波が客船をゆっくりと揺らす、陽の光に照らされて、キラキラと輝く海面は魅入る程奇麗だった。
私はヨコハマの街に目に視線を戻す。


「......却説、ここからは如何なるかしら」


×××

異能力戦争ー 探偵社 ー→←好奇心ト悪戯心ノ行ク末



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設定タグ:太宰治 , 文豪ストレイドッグス , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時

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