シークレットノート【檜山光成】 (ページ9)

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檜「2位か、惜しかった」

『ごめんね、走るの遅くて』

檜「俺こそめっちゃ引っ張ってごめん。大丈夫だった？」

『それは全然。あ、それ返さなくて良かったの？』

檜「え？」

それ、と指さしたのは檜山くんの手に握られていたお題の紙。

すっかり退場してクラスのテントへ向かっていたものだから、どうしよう、と笑っちゃう檜山くん。

檜「返さなきゃダメかな？」

『いいんじゃないかな、使い回しとかじゃないだろうし』

檜「いる？これ」

『私に？』

檜「隣の席だし」

『だとしても…』

檜「いらないよね、俺がもらっておく」

そう言って檜山くんは紙をポケットに入れた。

『じゃあ私、保健委員の仕事あるから行ってくるね』

檜「いってらっしゃい。頑張って」

檜山くんとは救護テントの前で別れた。

先に仕事をしていた保健委員と交代して、救護テントのパイプ椅子に座った。

いつも保健室では怪我したり体調悪い人の記入シートが用意されてて自分で書くんだけど、今日の体育祭は記入
を保健委員がやるって感じ。手当は先生がやってくれる。

テントで日陰の中とは言え蒸し暑さがすごくて、先生が持ってたハンディファンを貸してもらった。

トラックを囲んでいるギャラリーの隙間から、しばらく競技を見ていたその時、救護テントの近くで下を向きながらフラフラと歩く生徒。

Tシャツが同じだから、クラスメイト？と思ってよく見れば、内村くんだった。

内「さきちゃーん、頭いたいかもー…」

『えっ、大丈夫？』

私が声をかけた途端、救護テントの中にあった椅子に崩れるように倒れた内村くん。

先生が慌てて支え、置いてあった簡易ベッドへ座らせる。

「クーラーボックスの中にスポーツドリンクが入ってるから取ってくれる？あと保冷剤と濡れタオルも」

汗が止まらない内村くんに心配して眺めてしまっていると、先生から指示が飛ぶ。

机の隣にあったクーラーボックスからスポーツドリンク、保冷剤と濡れタオルを渡した。

安心したことに、自分で水分補給はできるみたい。