シークレットノート【檜山光成】 (ページ8)

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テントのブルーシートに座るとすぐ、男子の借り物競争が始まった。

檜山くんは最後の方って言ってたかな。

出場してるクラスメイトを応援していると、クラスの男子が走ってきた。

「元木！来てくれ！」

湧「俺！？何！」

「面白い人！」

湧「よっしゃ！行くぞ！」

めちゃくちゃ嬉しそうに靴を履いて飛び出していく元木くん。

確認のところで、元木くんの自己紹介(自称)「元木ワクワク」を披露してOKもらってた。

4月の自己紹介でやった時みんなに大ウケしてて、味しめたんだろうな。

深「次檜山くんだよ」

元木くんに気を取られていると、檜山くんが走ってお題の紙を引いていた。

そしてクラスのテントまで駆け寄ってくる。

内「なんだったー？」

檜「隣の席の人。あれ、湧は？」

深「今借りられたとこ」

檜「まじか」

ひと通りぐるっと見渡したあと、檜山くんと目が合う。

私に手を差し出して、微笑んだ。

檜「来て」

『えっ、私？でも逆じゃない？』

檜「それでも俺の隣でしょ？」

深「行け行け！行っちゃえ！」

クラスの子に背中を押されて、慌てて靴を履いて走り出した。

隣は隣だけど、話し合いとかでは同じ班とかペアになったりもしないから、檜山くんの本当の隣の席は元木くん。

たしかに、私も隣の席といえば隣の席だけど。

檜山くんのあとをついて走っていると、他の人たちも一斉にゴールに向かってる。

2人でゴールしなきゃいけないから、1人だけがゴールしたり、借りたお題が違ったりしたら順位に入らない。

運動は極力避けてきたから、走るのは得意じゃない。

すると突然、前を走っていた檜山くんが一瞬速度を落として、私の手首を掴んだ。

檜「引っ張るよ」

『えっ？うわぁっ！』

ぐんっと勢いよく手を引かれ、檜山くんの速度に乗る。

転ばないように必死について行ってゴールした。

結果は2位だった。