シークレットノート【檜山光成】 (ページ48)

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もちろん直接伝えてくれたことも嬉しかったけど、何より檜山くんと同じ気持ちだったことが嬉しかった。

ホッと気が抜けていつものような柔らかい表情になった檜山くんは、胸を手に当ててその場でしゃがみこむ。

檜「よかっったぁ…」

耳どころか顔まで真っ赤な檜山くんは初めて見た。

私だって本当に嬉しくて、言葉が出ないかわりに泣きそうになる。

立ち上がった檜山くんは私の顔を覗き込んで、一気に心配そうな顔に変わった。

私の頭に優しく手が置かれると、感情が涙に変わってあふれ出す。

『ごめん、嬉しかったから…』

檜「うん、ありがとう。俺も嬉しい」

ふふっと笑う檜山くんがいつもよりどこか甘く感じたのは、私が檜山くんを好きすぎるからってことにしておく。

檜山くんが私を好きになってくれて、檜山くんと同じ気持ちになって、檜山くんから直接伝えてくれて、お礼を言いたいのは私のほう。

檜山くん、私も好きだよ。

きっと檜山くんが思ってるより、大好きだよ。

私からの好きが重すぎて、檜山くんが引いちゃうんじゃないかなって思うくらい、大好きだよ。

私の頭を撫でてくれていた檜山くんの手が頬にぴたりと移動してきて、目からこぼれる涙を親指でそっと拭ってくれた。

檜「本当に俺でいい？」

『…檜山くんがいい。檜山くんじゃなきゃ、嫌だ』

檜「そっか。俺も、Aじゃないと嫌だよ」

突然の名前呼びにビックリして目を見開く。

綺麗な顔で優しく笑みを作る目の前の檜山くんは、間違いなく私の彼氏になってくれた人。

こんなにもかっこよくて、綺麗で、優しくて、私にはもったいないくらいかもしれない。

『名前は、ちょっと、時間かかる…』

檜「いいよ。いつか呼べるようになってね」

そのままふわっと檜山くんに包まれる。

香水？柔軟剤かな？鼻をくすぐる匂いに一気に檜山くんに染まったような気がして、好きすぎて、胸が苦しい。

そっと背中に手を回すと、檜山くんはさっきよりほんの少しだけ力を込めた。

檜「Aは？」

『え？』

檜「俺のこと、好き？」

『うん、好き』

檜「俺は大好き」

『～っ！』

ぶわっと体温が上がって、思わず檜山くんの胸板におでこをくっつけると、満足そうに笑いながら頭を撫でてくれた。