シークレットノート【檜山光成】 (ページ46)

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水曜日。

6限目の体育に向かおうとすると、トントンと私の肩を叩いたのは檜山くん。

無言で二つ折りの紙を渡してきたかと思えば。

檜「逃げるのなしだから」

ふっと笑う檜山くんは、いつもと少し違う。

少しの違和感を覚えながら教室を出ていく檜山くんを見送ったあと、体操服を持って私も更衣室へ向かう。

今日は手紙を回さなかったから、余計に何が書いてあるか気になる。

【放課後、教室で待ってて】

そんなことが書いてあった。

今日は水曜日で一緒に帰る日だから、教室で待つなんて当たり前。

むしろ私がいつも待たせちゃってるし。

わざわざこの内容を紙に書いて私に渡す意味って、何？

今日の体育の授業はテニスのテスト。

ラケットを持ちながら自分の番が来るまでネットにもたれながら座ってボーッとしていると、修学旅行でお世話になった可愛い子たちが寄ってきた。

私が檜山くんに手紙をもらうところを見てたらしく、白状されかけたけどなんとか隠し通した。

絶対いじってくるし。

「A、モテるもんね」

『はい？』

「気づいてないの？クラスの男子で好きなタイプ聞いたら半分くらいAって答えるよ？」

『なにそれ！？』

全然知らない情報ですがソースはどこから！？

どう考えてもモテるのはあなたたちの方では！？

「修学旅行のときに男子も恋バナしてたらしくて、Aに票集まってたらしいよ」

『へ、へぇ、そうなんだ』

「…気になる？檜山」

『っ！？』

「あはっ、ほんと分かりやすくてカワイー！」

「大丈夫。檜山はちゃんとAに入れてたよ」

『わざわざ言わなくていいっ』

好きなタイプと好きな人がイコールになるとは限らない。

もしそうだったらいいなって思う気持ちは嫌ほどあるけど、檜山くんがわざわざ手紙をくれた意味を考えると、ほんの少しだけ辻褄が合うような気がする。

…ご都合主義すぎるな、やめよう。

もし本当にそれが実現してるなら、私このあとどうしろって言うの？

心臓爆発してなくなっちゃうんじゃない？