シークレットノート【檜山光成】 (ページ45)

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先生の声で目を覚ますと、気づけば6限目も終礼も終わっている時間だった。

昼休みに薬を飲んだおかげか、体調もマシになった気がする。

ベッドから出ると、ソファに座っている綺麗な顔をした檜山くんと目が合った。

檜「どう？調子は」

『あ、うん。マシになった。ありがとう』

檜「良かった。女子に荷物まとめてもらったから、一緒に帰ろう。送ってく」

『えっ、でも檜山くん部活は？』

檜「顧問の先生休みだったからオフになった」

渡してくれた荷物を持って保健室を出て、下駄箱で靴を履き替えて、校門を出て、帰路に着く。

水曜日以外で一緒に帰るのは初めてで、なんだか少し緊張してる。

でも今ここで話さなきゃ、次はいつになる？

『檜山くん』

檜「なに？ごめんは聞かないけど」

『…えっ』

檜「さっきも聞いたし、季節の変わり目だから体調崩すなんて仕方ないじゃん？」

『ち、違う、昨日のこと』

思い出したような、もともと分かっていたような表情をする檜山くんと、しっかり目を合わせる。

『優しくてしてくれたのに無視しちゃうし、檜山くんのことうそつきとか言っちゃったし、全然そんなことないのにひどいこと言ってごめん』

檜山くんはちょっとビックリした顔をしたけど、またいつもみたいに優しい表情に戻った。

檜「全然。そう思ってくれるだけで十分だよ」

『…ほんと、檜山くんってどこまで優しいの…』

檜「そうでもないよ。むしろ俺こそ気づけなくてごめん。あの子喋ったことないし名前も知らなかった」

『えっ、そうなの？私の光成くんって言ってたけど』

檜「嘘でしょ？すれ違った記憶もないんだけど」

『そうだったんだ…』

そのあとは前みたいに楽しく会話が進んで、ちょっとだけ気まずかった関係が戻った気がした。

檜「…さっき咲本には嘘つかないって言ったけど、ちょっと嘘ついたこと言っていい？」

『…なに？怖いかも』

檜「…部活サボった」

『ちょっと！普通に嘘つくじゃん！』

檜「言うべきか迷ったけど、このまま咲本に嘘つき続けるのは嫌だなーって思って今言った」

『大事な部活なのに…！』

檜「俺の中にも優先順位ってのがあるから」

『だとしても部活が優先でしょ』

檜「1人で帰って体調悪くなって倒れたら困るし。またナンパされたらどうすんの？」

映画の時のナンパをずっと擦ってくる檜山くんだけは、いじわるだった。