シークレットノート【檜山光成】 (ページ38)

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【俺も咲本のこともっと知りたい】

夜ご飯もお風呂も済ませて散らかった服やらコスメやらを片付けているとき、そんなメールの通知が飛んできて珍しく大声を出してしまった私。

あのあと、檜山くんはいつもの調子に戻った。

そのまま家に入ることを促され、吸い込まれるようにフラフラと家に入った。

檜山くんがちゃんと家に帰ったメールも来たし、やっぱり私が変なことを言って嫌われたかもしれない、なんて落ち込み気味でお風呂にも入ったのに。

それはどういう意味？友達として？

檜『友達としてじゃなきゃ、ダメ？』

あんなことを言うってことは、本当にそう思ってくれてるの？

いろいろ考えてしまってどう返そうか悩んでいると、思いがけず指が触れてしまい、トーク画面が開かれて既読を付ける。

どうしよう、何か返さなきゃ。

いやでもこれ、どうやって返せばいい！？

私が檜山くんに言ったことがそのまま返ってきてるわけだけど、この返信めっちゃ難しい。

既読をつけたままどう返そうか迷っていると、檜山くんから新たにメッセージが追加された。

【今、時間ある？】

【うん、大丈夫だよ】

【電話とか苦手？】

【苦手じゃないよ】

そう返すと、着信画面に切り替わる。

見慣れない【光成】の文字が表示されてドキッとしてしまう。

檜「もしもし」

『もしもし。なんかあった？』

檜「いや、ちょっと話したかっただけ」

『…なにそれ』

嬉しさを隠しきれず、私はふふっと笑いながら言うと、電話の向こうで檜山くんも笑う。

檜「なんかしてた？」

『部屋の片付けしてたよ』

檜「そうなの？ごめん、邪魔した？」

『ううん。ちょうど飽きてきたなーと思って』

檜「片付けに飽きるとかあるんだ」

スピーカーにして、整頓したばかりのローテーブルの上に置く。

そしてなぜか正座をしたままスマホと向かい合ってる私。

会話をくれるのは手紙と同じくいつも檜山くんの方で、私はそれに答えるだけ。

私が何か会話をするとしたら…。

『檜山くん』

檜「ん？」

『檜山くんは、なんで私を誘ってくれたの？今日の映画』

それはシンプルな疑問のつもりだった。