シークレットノート【檜山光成】 (ページ36)

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電車で2駅、大きな商業施設がある最寄り駅に到着して、ファミレスでお昼ご飯を食べた。

映画まで少し時間があったから、中に入ってお店を見て回っていると、檜山くんからビックリする発言が飛んできた。

檜「咲本のそのワンピース、似合ってる」

『えっ』

檜「制服と違って、大人っぽくて、俺は好きだよ」

俺は好きだよ。

その言葉は、私が待ち望んでいた言葉だった。

けど焦点は服装の話で、残念ながら私では無い。

檜山くんはいつもと変わらずニコッと笑うから、檜山くんにとってはなんでもない普通の会話なんだなと思う。

『ありがとう。檜山くんも似合ってるよ、かっこいい』

檜「えっ、まじ？」

『うん、まじ』

檜「めっちゃ嬉しい」

でも嬉しそうに笑う檜山くんを見れば、そんなことどうでもよく思ってしまうくらい、私はすっかり檜山くんに落ちてしまっていた。

時間も時間だったから、映画館の方へ移動することに。

映画は探偵もので、ドラマでも精密なミステリーが組み込まれている本格的な内容。

エンドロールのあと、続編を匂わせるようなシーンが流れて、薄暗く明るくなった途端に2人で顔を見合わせた。

『なに？今の』

檜「続編っぽくない？」

『ぽいよね？あの終わり方で正解なのかなとは思ってた』

檜「絶対あるよね。しかも最後に出てきたあの人…」

退場のアナウンスが流れる中、私と檜山くんはお互いに指をさして声を揃えた。

檜「『2話で見たことある！！』」

檜「だよな！あの人って犯人の友達だったよね？」

『そう！あの時めっちゃ悲しそうな顔してたけど、もしかして今度はあの人が犯人？』

檜「やば、超楽しみ。公開されたら一緒に来ようよ」

『うん！』

映画が楽しみで思わず元気よく返事をしたけど、これってつまり、檜山くんと遊ぶ約束がまたできたってこと。

そんなの嬉しくないわけがなくて、席を立って出口へ向かう檜山くんの背中を追いかけた。

また電車で2駅戻って、最寄り駅に着いたのは18時過ぎ。

檜「送ってくよ」

『えっ、いいよ。反対でしょ？』

檜「女の子1人は危ないよ」

『危ないって、地元なのに？』

檜「地元なのにナンパされてたのは誰？」

人差し指で私の頭をツンと優しく触る檜山くんの顔は優しい。

そのまま私が帰る方向に歩いていくから、慌ててついて行く。

檜山くんって本当、どこまで優しい人なんだろう。