シークレットノート【檜山光成】 (ページ31)

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月曜日、学校に行くと先週みたいに黒板には何も貼られてなかった。

誰がやったのかは気になるけど、なくなったならそれでいいや。

昼休みのあとの5限目の国語。

この時間は隣から毎回手紙が回ってくる。

【修学旅行の班、一緒にどう？】

1ヶ月後には一大イベントの修学旅行が待っていた。

3泊4日、場所は大阪。

最終日は班別行動で、みんなで相談して大阪のあらゆる観光地や名所を巡る。

手紙が回ってくることだけでも嬉しいのに、一緒にどう？なんて誘われて嬉しくないわけがなかった。

【いいの？何人班だっけ？】

【多分8人男女差は何も言われてないけど、4人4人が妥当だよね】

【誰誘うの？】

【横で爆睡してるヤツ3人】

檜山くんの隣を覗くと、いつものごとく机に顔を突っ伏して寝ている、元木くん、深田くん、内村くん。

檜山くんと目が合うと、ニコッと笑ってくれた。

【私も誰か誘ってみる】

【ありがとう】

【檜山くんたち人気だから、すぐ取られちゃいそうだけど】

【大丈夫でしょ先生も男女混ぜろって言うだろうし】

男子に取られる心配じゃなくて女子に取られる心配なんだけど、モテる男は気づいてないみたい。

檜「ていうか、この授業でコソコソ手紙回さなくて良くない？」    

『それはちょっと思った。って、このくだり何回目？』

檜「3回とか？」

『行事前の話し合いのたびにこの会話してるよね』

檜「たしかに」

檜山くんが笑うと、つられて私も笑う。

あまりにもその綺麗な笑顔が今この瞬間私だけに向けられるから、好きという気持ちが募っていく。

それと同時に、こんな私が檜山くんを好きになっても良かったのだろうかと思う。

私が好きになったからと言って、檜山くんが私のことを好きになるとは限らない。

私より可愛い子はたくさんいるし、私より優しい子だってたくさんいる。

もし、もし仮に付き合えたとしたら、釣り合わないって言われて、檜山くんが恥かいちゃうのかな。

なんて、そんな夢のようなことを考えては、その夢の中で勝手に落ち込む。

こんなに考えるのも、私が檜山くんのことを好きだからだよね。

隣の檜山くんをチラッと見ると、私の視線に気づいて目が合う。

すぐに逸らしてしまったのは、私が檜山くんのことを本気で好きな証拠な気がして。

周りから見ても今の私って、よっぽど重症なのかもしれない。