シークレットノート【檜山光成】 (ページ30)

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『檜山くんがメガネかけてるの、珍しいね』

檜「うん、視力悪くて。普段はコンタクトだから」

そう言ってメガネを外すと、見慣れたいつもの檜山くんが現れた。

やっぱり、綺麗な人。

檜「でも外すと全然見えないよ。この距離でもぼやけてるから」

『じゃあ、これは？』

檜「2。目悪い人にそれやるのってマストなの？」

『見えるかなって』

檜「さすがにシルエットは見える」

手でピースを作って見えるかどうか試すと、馬鹿にしてるでしょと笑う檜山くん。

ドキドキするけど、檜山くんが会話を続けてくれるから、ちょっと落ち着きもある。

メガネをかけ直した檜山くんはやっぱり見慣れなくて、でも私だけが見れたような特別感があった。

フルーツタルトを箱に入れて、近くにあったメモに気づく。

よく考えてみれば、メモや手紙を見るたびに檜山くんの顔が浮かんでしまうから、よっぽど重症かもしれない。

【また来てください咲本】

箱の上にテープで留める。

『外まで持っていくよ』

普段はしないけど。

カウンターを出て店のドアを開ける。

『ありがとうございました』

檜「はい、どうも」

箱を渡すと、すぐメモに気づいた檜山くん。

私を見るとまたニコッと笑う。

檜「また来ます」

『お待ちしております』

檜「壁隔てられてるみたいでなんか嫌だわ」

『一応仕事中だし』

檜「そっか。じゃあまた来るね、ばいばい」

『うん、ばいばい』

ひらひらと手を振る檜山くんにつられて、手を振り返した。

店内に戻ると、カウンターで肘をついてじっと私のことを見ている青木くん。

『わっ、びっくりした』

青「知り合いなの？」

『知り合いも何も…』

さっき話してた人ですって言うと、青木くんは目を大きく見開いた。