シークレットノート【檜山光成】 (ページ28)

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青「お疲れだねぇ、なんかあった？」

土曜日、バイトの休憩時間。

スタッフルームでスマホを握りながらボーッとしていると、目の前に置かれるチーズケーキ。

『どうしたんですか、このケーキ』

青「余ってたから店長にねだったらくれた。そんなことより、大丈夫？」

エプロンの紐を解きながら椅子に座る青木くん。

『…青木くんって、恋バナできる人でしたっけ』

青「できるよ。なに、好きな人でもできた？」

『好きっていうか、ちょっと気になるっていうか…』

青「いいじゃんいいじゃん、聞かせてよ」

誰かに話せば自分の中にあるモヤモヤが解消されると思って、いろいろ端折ったけど青木くんに話してみた。

授業中に手紙を回していること。

毎週水曜日、一緒に帰っていること。

目を合わせるとドキドキしちゃうこと。

『どう思います？』

青「うん、好きだと思うよ」

『んー…』

青「Aちゃん、諦めな？そうやってその人のために悩んだり考えたりする時間がある時点で、もう好きなんだよ」

チーズケーキをフォークで刺して、パクッと効果音が付きそうなくらい可愛い顔して食べる青木くん。

その人のために悩んだり考えたりする時間がある時点で好き、かぁ。

『青木くんは彼氏いないんですか？』

青「彼女ね」

『彼氏じゃないんですか？』

青「だから彼女だって。僕のことなんだと思ってるの？」

『だって青木くん可愛いから』

青「Aちゃんまでそのいじり方してくるのやめて？」

2人でチーズケーキを食べ終わる頃には、休憩時間はあと10分くらいになっていた。

『人を好きになるとどうなりますか？』

青「すごい哲学みたいな聞き方するね。えー、普通に目で追っちゃうとか？あとはやっぱり、一緒にいるとドキドキしたり、その人についていろいろ考えたり」

『結局そこに辿り着くんですね』

青「Aちゃんってそんなに頭硬い人だったっけ？もしかしてこの人の事好きなのかな？って感じたら、とっくに好きになってると思うけど」

よく顔を見せるようになった私の知らない感情が、本当にこれなら？

自覚してしまったら？

認めてしまったら？

青木くんは、肘をついてふわりと微笑んだ。

『…だとしたら私…』

青「もう十分、好きだと思うよ」

隠すことも諦めそうだ。