シークレットノート【檜山光成】 (ページ26)

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ちょっとまって、私は本人を目の前にして何を言ってるの！？
ふ

会話を繋げようとしたら、どう考えても変人すぎる発言をしてしまった。

『ごめん！今のナシ！』

檜「なんでナシにすんの？普通に嬉しいんだけど」

サラサラな髪の隙間から見えた、歯を見せて笑う檜山くんの耳は、ほんのり赤く染まっていた。

檜「初めて言われた」

『だよね、ごめん…』

檜「謝んないでよ。褒め言葉だし、本当に嬉しい」

『顔だけじゃないよ！？中身も綺麗だなって思う！丁寧だし優しいし親切だし…』

檜「優しいと親切って一緒じゃない？」

『…たしかに…』

檜「もしかして、焦ると早口になるタイプ？」

『…はい』

檜「ははっ、わかる。パニックになっちゃうんだよね」

さっきも教室で似たようなことを言われて、顔に熱が集まる。

夏の暑さと恥ずかしさでおかしくなりそうだけど、檜山くんなりの優しさが心にしみた。

駅前のコンビニに入ると、これでもかと言うくらい冷えた空気が私と檜山くんを包み込む。

選んだアイスは、1つを2人でシェアするタイプのコーヒー風味。

お金を出そうとしたらすでに支払い済みで、割り勘するほどじゃないから、って甘えさせてもらった。

檜「文化祭、頑張ろうね」

そうやって檜山くんが笑うたび、私の知らない感情が顔を見せるようになった。

この感情に名前をつけるなら、世間一般では恋というのだろうか。

檜「あ、さっきの言葉。咲本にそのまま返していい？」

もしそれが本当なら、自覚するのも時間の問題だ。