シークレットノート【檜山光成】 (ページ19)

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体育が終わったあと、クラスでの終礼はなくそのまま解散にするのが7組のルール。

そのまま部活に行きたい人とかもいるからね。

友達と制服に着替えて教室に戻る途中、去年同じクラスだった子と会って、話したいことがあったから先に帰ってもらった。

20分くらい話したあと、教室に戻ろうとしたら深田くんと会った。

深「あ、咲本。檜山くんが探してたよ」

『檜山くんが？』

深「うん。荷物あるし戻ってくるんじゃない？って言ったから、教室で待ってると思う」

『本当？分かった、ありがとう』

なんで檜山くん？私なんかしたっけ？

気づけば走って階段を上っていて、教室に着く頃には制汗シートで拭き取った汗が滲んでいた。

ドアを開けると、机に浅く腰をかけてスマホを見ていた檜山くんと目が合う。

『ごめん、待った？さっき深田くんに会って、教室で待ってるって聞いたから』

檜「あ、いやそんな急用じゃなかったんだけど」

スマホを握っていた手と反対の手に握られていたのは、5限目の英語の自習で机に貼ったメモ。

檜「これ、ありがとう」

『全然。間違ってたらごめんね』

檜「白紙で出すよりマシだよ。ごめんね、咲本に言いたかったの、それだけ」

なんて律儀な。

ニコッと笑って荷物を持つ檜山くん。

それだけのために私を待っててくれたって、なにそれ紳士じゃん。

『わざわざありがとう。丁寧だね』

檜「なんだかんだいつも答え聞いちゃってるしね」

『間違ってる時の方が多いよ』

檜「そう？咲本に教えてもらった答え間違ってたことないよ」

『さすがに嘘じゃない？』

檜「嘘じゃないって」

私が荷物をまとめるまで待っててくれて、一緒に教室を出た。

檜「咲本って地元どこ？」

『東町だよ』

檜「まじ？俺も。駅近い？」

『駅からはちょっと離れてるかな。東神社の近く』

檜「だから中学違うのか。俺は駅の方、商店街とか」

『そっちね、私もよく行くよ。神社側そういうの少ないから』

何気なく地元の話で盛り上がったけど、下駄箱まで来て、絶対にそうなる展開に今更気づいてしまった。

檜「一緒に帰る？」