シークレットノート【檜山光成】 (ページ17)

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『好きな人？なんですか、急に』

青「いないのかなーと思って」

『いないですね』

休憩時間、スタッフルームで2人でケーキを頬張っていたら、突然そんなことを聞かれた。

青「気になる人とかは？」

『んー、特に思いつかないですね』

青「彼氏できたことは？」

『ないですけど…』

青「かわいー！」

『もう！いじってるじゃないですか！』

というか、なんでまた急に。

青木くんはそれこそ女の子みたいに、口元に手を当てて笑う。

青「僕と同じバンドの子が最近ちょっと気になる子がいてーって話してたから、なんとなく恋バナ振っただけ」

『男の子もするんですね、恋バナ』

青「そりゃするよ。なんなら女子よりしてるかもよ」

『えぇ、本当ですか？』

青木くんは友達とバンドを組んでてキーボードをしてるのに、見た目も中身も女子より女子で困るな。

そこからはもう質問攻め。

好きなタイプだとか理想のデートだとか、休憩時間ギリギリまで尋問みたいに聞き出された。

青「全部王道だね」

『少女漫画とかはよく見てましたけど、現実で考えるとそれくらいしか思いつかないです』

クラスメイトともよく恋バナはするけど、私はいつも聞いてばかり。

彼氏とデートした話、先輩に片思いしてる話、好きな人の好きな人が親友かもしれない話、とかいろいろ。

特に聞かれることもないし、私も私で人の恋バナを楽しんでる。

青「高校で恋愛すると楽しいよー？」

青木くんはエプロンを結び直して、私の分の食器も下げてスタッフルームから出て行った。