シークレットノート【檜山光成】 (ページ16)

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『おはようございます』

青「Aちゃんおはよう～。テストお疲れ様～ってことで、はい！」

『わー！ありがとうございます！いいんですか？』

青「店長が2人で食べなーって言ってた」

『やったー！』

青「休憩時間に一緒に食べようね」

バイト先は、駅から少し離れたケーキ屋さん。

チェーン店じゃなくて小ぢんまりしたケーキ屋さんで、スタッフさんもみんな優しくて、買いに来る人は大体決まってる。

今日は2つ上の先輩、青木くんと一緒。

女子の私でも普通に負けちゃうくらい可愛くて、女子力が高い。

私よりコスメやファッションに詳しいから、よく教えてもらってる。

制服に着替えて前に出ると、お客さんは2人くらい。

ショーケースの前でケーキを迷っているセーラー服の女の子が1人と、周りの焼き菓子を見ているおじいさんが1人。

おじいさんは定期的に来てくれるからよく見るけど、セーラー服の女の子は私は初めてかも。

「あの」

『はい、お決まりですか？』

「フルーツタルト、1つください」

『フルーツタルトおひとつですね。かしこまりました。他に何かございますか？』

するとセーラー服の女の子は首を小さく横に振った。

目がくりっとしてて顔も小さくて、モデルさんみたいに可愛い。

青「レジやろっか？」

『お願いします』

青「お先にお会計お願いします」

箱を組み立てている間、青木くんがレジをしてくれた。

女の子は嬉しそうに箱を握ってお店を出ていった。

そして焼き菓子を見ていたおじいさんは、前回と同じ箱を持ってレジにやってきた。

青「山井さん！いつもありがとうございます！」

「これ、つーちゃんが好きでな」

青「いつものですね。お預かりしますよ」

近所に住んでる山井さん。

つーちゃんと呼んでいるのはお孫さんで、歳は私たちと変わらないらしい。

月に1回くらいのペースで、いつも同じ焼き菓子を買ってくれる。