シークレットノート【檜山光成】 (ページ13)

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体育祭が終わってやってくるのは中間テスト。

みんなは完全に体力を使い果たしてしまったみたいで、いつものような活気はどこにもない。

私は平均点を下回ると親からお叱りを受けるから、いつもより身を引き締めながら授業を受けていた。

先生が黒板に文字を書き始めると、隣から1枚のメモ付箋が机に貼られた。

【問5の答えって何？聞いてなかった】

【③だよ】

檜山くんが聞き逃すなんて珍しい。

メモを渡すと、口パクで「ありがとう」と返ってきた。

頭を授業に切り替えようとしてふと気づく。

今までも何回か手紙やメモを回してたことがあるけど、私で終わったことがない。

いつも檜山くんの方から回してくれて、私はそれに返答して返すだけ。

今みたいに問題の答えを聞かれることもあれば、普通にこの前の国語の時みたいに雑談をしてくれる時もある。

檜山くんばっかりな気がして、私も何か回した方がいいのかな、なんて。

檜山くんじゃなかったら絶対そんな思考にならなかったのに。

【リレーのアンカー、かっこよかったよ】

体育祭の感想をちゃんと伝えれてないなと思って、1枚のノート用紙を半分に切って四つ折りにして机に置いた。

なんだかちょっと恥ずかしくて、目が合う直前でノートを書き始めた。

本当は書き写す場所なんてないから書いてるフリだけど。

ほんの少しして、先生がまた私たちに背中を向けたタイミングで紙が回ってきた。

【ありがとうめっちゃ緊張した】

【飛び入り参加したらアンカーだったもんね笑友達から聞いてビックリした】

【そう笑てっきり陸上部だと思ってたからまじで焦った直前だから順番も変えられなかったし】

【ギリギリに伝えに言っちゃってごめんね】

【それは仕方ないじゃんギリギリまで保健委員の仕事してたんでしょ？】

【うん駄々こね内村くんと戦ってた笑】

【あいつ笑】

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作者です。

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