シークレットノート【檜山光成】 (ページ2)

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前も向けないし言葉も出ないしどうしようか迷っていると、檜山くんが机の上にあった授業のプリントをひらりと見せた。

檜「プリント見せてもらってただけです。先週休んでたんで」

先「そうだったのか、申し訳ない。じゃあ次の問題いくぞ」

檜「ありがとう、助かった」

そう言って何事もなく渡してきたプリントの名前には、檜山光成。

そして英文問題が書かれている下に薄紫色の付箋が1枚。

【まじでごめん】

ちらっと檜山くんを見ると、それこそさっきより申し訳なさそうに眉毛を下げて手を合わせてた。

今のこの数秒の間にコレができるって、檜山くんって本当に良心の塊。

私も薄いピンク色の付箋を取り出して【大丈夫、こちらこそごめんね】と書いて、絵しりとりの紙と一緒にプリントを返した。

今度はちゃんと、先生が黒板を書いている時に。

檜山くんがプリントを受け取ると、私の方を見てふわりと微笑んだ。

2年7組、檜山光成。学級委員。

成績優秀、スポーツ万能、顔良し、スタイル良し、おまけに地獄の果てまで優しい。(って去年のクラスの子が言ってた)

妹がいるみたいだけど、妹にもしっかり優しいらしい。

純粋に受け止められない私は、本当は裏があるんじゃないかとか、女の子を取っかえ引っ変えしてるんじゃないかとか、最低なことを考えてた。

でも今、彼の完璧な比率の笑顔を見て、そんな自分を殴りたくなった。