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謙杜side
案内されたAの部屋に入ると、ふわっと優しい香りが鼻をくすぐる。
なんやろ、石鹸とかボディーソープとか、そんな感じの自然ないい匂い。
女の子の部屋って、フローラル系とかスイーツ系とかもっと甘ったるい感じやと思ってたけど、ただの偏見やった。
『ごめんね、こんなのしかなくて…』
と言いながらトレイに乗せて持ってきたのは、紅茶と焼き菓子。
しかもオシャレなやつ。
Aの「こんなの」の基準どうなってるん。
手つけようにもつけられへん。
謙「てか、今日なんで家誘ってくれたん？」
紅茶に口をつけたAは、どこか緊張していた。
ゆっくりカップを置くと、コトンと可愛らしい音がする。
『進路のこと、相談したくて』
謙「進路？A何になりたいん？」
『それがイマイチ分かんなくて』
謙「学科とかは？」
『一応国際系。英語を伸ばそうと思って』
謙「A英語得意やもんなぁ」
『でもさ、英語を伸ばすのはいいんだけど、何になりたいか分かんないの』
謙「そうやなぁ。CAとか？」
『ちょっとレベル高い…』
謙「海外の人向けのツアーガイドさんとか！」
『歴史とか学ばなきゃじゃん。私苦手だよ』
謙「通訳さん！」
いろいろ提案してみても、Aにはあんまりしっくり来てなさそう。
正直、Aやったらなんでもなれると思うけどな。
謙「シンプルに教師とかは？」
『教えるの得意じゃないなぁ』
謙「なんでよ、俺に教えてくれたときめっちゃ分かりやすかったで？」
苦手な古典もそうやし、英語も教えてもらったことがある。
こういうルールがあるからこう、とかいうやつじゃなくて、俺が分からないところの根本とその理由からちゃんと教えてくれた。
おかげで英語は70点台。
謙「まだ焦らんでええやろ。勉強したいやつ決まっとったら」
『謙杜は？』
謙「え？」
『謙杜は、何になりたいの？』
Aから向けられる真っ直ぐな視線。
何か考えてるような意味ありげな視線に違和感を覚えた。
今日家に誘ったのはそういうこと？
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檸檬の妹(プロフ) - 完結おめでとうございます！ずっと前から読ませていただいて、作品がとても面白かったです！アナザーストーリーもしっかり読ませていただきます！ (2022年12月4日 11時) (
レス) @page50 id: 1fb600e1a2 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 下書き、頑張って！！応援してます！！ (2022年8月16日 9時) (レス) @page27 id: 64ad605d1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らずべりぃ | 作成日時：2022年7月1日 21時
